ゲーム互換機「レトロフリーク」は違法か合法か?
一時期問題となった「マジコン」は違法とされたが、どのように異なるのだろうか。大江弁護士は、マジコンとの最大の違いは「レトロフリークは正規のソフトを使うことを前提としている」点だと指摘する。マジコンでは違法ソフトを動かせるようになっており、この点が不正競争防止法の観点から違法と判断されたという。
パラメータ改変機能には違法の可能性も
ただ、今後違法性が問われる可能性がないとは言い切れないようだ。違法性が問われうる一つの可能性は、レトロフリークに備わる「コードフリーク機能」という、パラメータを改変し無敵状態やレベルMAX状態からスタートできる機能だ。 大江弁護士によれば、ゲームの著作権には「プログラム」という側面と、「映画」という側面がある。パラメータを改変してもプログラム自体が変更されていなければ、プログラムの側面では問題にならない。一方で、ゲームをひとつの「映画」と考えた場合、パラメータ改変によってストーリーが大幅に変更されれば「製作者の意に反する改変行為」があったとして、私的利用かどうかを問わず「同一性保持権」の侵害が問題になることがある。 恋愛シミュレーションゲーム「ときめきメモリアル」をめぐっては、主人公のパラメータが最高値から始まるよう改変できるメモリーカードを販売していた業者を、コナミが提訴。2001年に最高裁でコナミが勝訴している。その理由として大江弁護士は「ゲームの『映画の著作物』としての側面をとらえ、メーカーが意図したストーリー展開の範囲を超える結果をもたらすようなパラメータ改変行為は、『同一性保持権』を侵害しているとされた」と解説する。 大江弁護士は「最高裁の考えに従えば、場合によっては『同一性保持権侵害』となり、サイバーガジェット社が責任を問われる場合もあるが、どの場合に同一性保持権侵害にあたるかはあいまいで、ゲームの種類によって個別の判断とならざるを得ない」という。例えば、ゲーム「三国志3」のパラメータ改変は、製作者の同一性保持権を侵害せず合法とされた判決もあるという。