地滑りがあちこちで…能登地震の被災地「雪解けシーズン」到来でさらに高まる”二次災害リスク”
能登半島のあちこちで地滑りが発生し、道路が寸断されている状態が今なお続いている。 懸命な作業のおかげで日に日に通れる道路が増えているものの、発災後しばらくは朝に通れていた道路が夕方になると通行困難になっていたという場所もいくつか存在するほどである。道路啓開が行われたところもとりあえずは通行できるが、今にも倒れそうな木々が電線に支えられているだけといった場所も多かった。 【画像】ひどい…!被災地の「ヤバすぎるトイレ事情」写真…! また、地滑りは道路だけでなく、集落をいとも簡単に飲み込んでしまった。自衛隊などが連日捜索活動を続けているが、あちこちで捜索が難航している。筆者が取材した現場は輪島市市ノ瀬町の集落。1月14日の15時過ぎと日没が迫りつつある時間帯だったが、警視庁や広島・鹿児島県警などの広域緊急援助隊をはじめとする部隊40名ほどが重機などを使い懸命の捜索活動を行っていた。 作業を見守っていた石川県警の隊員に話を聞いたが「何名の方が巻き込まれたのか詳細な数がわからないんです」と唇をかみしめながら話していた。集落の近くの大きな山で大規模な地滑りが発生し、集落を直撃した。元日ということもあり、流された先の田んぼには角樽や正月用の食器類が散乱しており、倒れた家屋も目立った。一家団欒の夕方を襲った無残な惨状が広がっていた。 そしてさらに恐ろしいのがこれから雪解けシーズンを迎える2月以降だという。地元の方は、 「毎年2月の終わりくらいからこの辺りは徐々に雪解けが始まって山の上から水が流れてくるけど今回ほど恐ろしいもんはない。あちこちで地滑りが起こっとるからこれからどうなるか不安で不安で…」 と話していた。 筆者が取材を行ったこの日は比較的天気が良かったが、その分、山からの雪解け水が捜索活動場所に多く流れ込み、一部は滝のような流れ方をするところもあったほどだ。地滑りと同時に「河道閉塞(かどうへそく)」、いわゆる土砂ダムが輪島市と能登町の6河川14ヵ所で発生し、捜索活動が行われていた市ノ瀬町の集落にも土砂ダムの脅威が迫っている。予断を許さない状況が続いており、国交省も対策工事や監視体制を強化している。現地で生活をしている方々だけではなく、捜索活動や復旧作業に当たる人員の安全確保も急務である。 撮影・文・取材:有村拓真
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