オープンAI共同創業者サツキバー氏、新会社発表-安全なAI目指す
(ブルームバーグ): ここ数カ月、人工知能(AI)の世界では「イリヤはどこにいるのか?」という質問が繰り返し聞かれるのが普通になっていた。
オープンAIの共同創業者で著名な研究者、イリヤ・サツキバー氏は、2023年に取締役会によるサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)の解任に関与したが、その後は方針を転換してアルトマン氏の復帰を支援した。
それ以降、サツキバー氏は沈黙を守り、オープンAIでの同氏の将来は不透明なままだった。そして5月半ば、同氏は退社を発表し、次のプロジェクトについては「そのうち」公表するとだけと述べていた。
同氏は19日、そのプロジェクトを発表した。セーフ・スーパーインテリジェンスというベンチャー企業だ。短期的にAI製品やサービスを計画していない純粋な研究組織内で、安全で強力なAIを開発することを目的に掲げている。
同氏は自身の計画に関する独占インタビューで、「この会社が特別なのは、最初のプロダクトが安全なスーパーインテリジェンス(超知能)であり、それに到達するまで他には何も行わないということだ」と述べた。「大規模で複雑な製品を扱わなければならない、し烈な競争に巻き込まれなければならない、といった外部のプレッシャーから完全に遮断されることになる」と説明した。
サツキバー氏は、新会社の出資者の名前や資金調達額を明らかにしていない。
同氏には2人の共同創業者がいる。1人は投資家でアップルの元AI責任者、ダニエル・グロス氏。もう1人はサツキバー氏と共にオープンAIに勤務し、大規模なAIモデルのトレーニングで高い評判を築いたダニエル・レビ氏だ。新会社はカリフォルニア州パロアルトとイスラエル・テルアビブにオフィスを構える方針。サツキバー氏とグロス氏は共にイスラエル育ちだ。
サツキバー氏はAI業界で伝説的とも言える存在のため、同氏の状況を巡る不透明感は、シリコンバレーでは数カ月前から注目を集めていた。