【イベントレポート】ウェイ・ダーションが来日、小児がん病棟を舞台にした台湾映画「BIG」日本初上映
台湾映画「BIG」が昨日3月4日に第19回大阪アジアン映画祭で海外初上映され、大阪のシネ・リーブル梅田で行われたトークイベントに監督のウェイ・ダーション(魏徳聖)、キャストのフェイフェイ・チェン(鄭又菲)が登壇した。 【画像】当初はオファーを断ったというフェイフェイ・チェン(鄭又菲) 「海角七号 君想う、国境の南」「セデック・バレ」2部作などで知られるウェイ・ダーションが手がけた本作は、小児がん病棟を舞台にしたヒューマンドラマ。“BIG”と書き換えられた816号室に集う6組の家族の悲喜こもごもが、時にアニメーションを交えて描かれる。フェイフェイ・チェンが816号室に入院している少女ユエンユエンを演じ、白血病と闘う彼女を支える母にツォン・ペイツー(曾沛慈)、主治医にマー・ジーシアン(馬志翔)が扮した。また「海角七号 君想う、国境の南」で主演を務めたファン・イーチェン(范逸臣)と田中千絵が、816号室に入院している少年ダーシャンの両親役で再共演を果たしている。 観客の大きな拍手に迎えられ登場したウェイ・ダーションは「映画を観に来てくれてありがとうございます。お久しぶりですよね」とにっこり。そして「これまでいろんな困難に直面して大変な時期もありました。大きなプロジェクトを手がけていたんですが資金問題とコロナでストップしてしまったんです。暇ではいけないと思って、この映画を撮りました。だからこの作品を撮ったことはハプニングみたいなものなんです」と語り、「脚本を書きながら笑ったり泣いたり笑ったり泣いたり非常に落ち込んだりしました。皆さんもご覧になって笑ったり泣いたりしたと思います。人生は希望があるもの。映画を観終わって、前向きになっていただけたらうれしいです」と述べる。続くフェイフェイ・チェンは「日本で皆さんとお会いできてとってもうれしいです。この映画は好きですか? 好きになったら周りの友人や家族に紹介してください」と笑みをこぼし、会場を和ませた。 「役者を見つけるのに相当時間がかかった」と明かすウェイ・ダーションは「ユエンユエンはもっとも大事な役柄ですが、なかなか演じてほしいと思える役者に出会えませんでした。そんなとき、スクリプターの友人がたくさんの子役の写真を集めてくれたんです。ぱっとフェイフェイが目に入ってきて、あ、この子だ!と目を見て思いました。決めてからは、カメラテストは一切しませんでした」と思い返す。しかしオファーするも、当初は断られたそうで「ユエンユエンを演じるためには、髪の毛を剃らなければならないので大変。それで断られました。時間をかけて説得したんですが、納得してくれない。なので人づてではなく、直接、本人と話したいと連れてきてもらったんです」と回想。「『出演したら社会貢献できる』『人生にこんなチャンスはなかなかないぞ!』と話したんですが、納得してもらえなかった。最後に帰りのエレベーターで『どうですか、やりますか?』と聞いたら、なんと『はい、やります』と言ってくれたんです」と述懐した。 これを横で聞いていたフェイフェイ・チェンは「髪の毛を切らなきゃいけないのはやっぱり嫌ですよね。坊主になるわけでしょ? 髪の毛はとても大切なもので、生まれてから9歳になるまで髪を切ったことがなかったんです。でも監督に直接会ったら、一生懸命物語を語ってくれて、かっこいい、クールだなって思ったんです。そこで少しやる気が出てきて、最後にエレベーターで一応OKを出しました」と振り返りつつ、「実は監督に会う前に300種類ぐらい断る方法を考えてたんです。『私が髪を剃るなら、監督も坊主になって!』と言おうかと思ってました」と打ち明け、会場を笑わせた。当初、子役との仕事に不安もあったというウェイ・ダーションだが「我々の考えすぎだと思いました。子供たちにはしっかり睡眠を取ってもらって、いっぱい食べてもらえばだいたいうまくいきます。コミュニケーションを取るときは、ストレートに話せばいい。『大人たちは君たちがいないと何もできないんだよ』と説明すれば、責任を持ってやってくれます。子供との仕事に自信が持てましたし、もともと子供が大好きなので楽しかったです」と語った。 第19回大阪アジアン映画祭は大阪・ABCホール、シネ・リーブル梅田、T・ジョイ梅田、大阪中之島美術館にて3月10日まで開催される。 ■ 第19回大阪アジアン映画祭 2024年3月1日(金)~10日(日)大阪府 ABCホール、シネ・リーブル梅田、T・ジョイ梅田、大阪中之島美術館