阪神・坂本誠志郎がFA宣言していれば、複数の球団が獲得に名乗りをあげていたのに…
【球界ここだけの話】驚いた。阪神・大山俊輔内野手(29)とともに国内フリーエージェント(FA)権を行使するとみられていた坂本誠志郎捕手(31)が権利を行使せず、4年契約総額4億円プラス出来高で残留したことだ。 【写真】ミエセスとじゃれ合う坂本誠志郎 「本当に悩んではいましたけど。僕は兵庫県出身。地元で縁のあるタイガースにドラフトのときに入って、その縁や恩があると」 テレビの野球中継といえば阪神戦が中心。少年時代の憧れの舞台だった甲子園。嘘偽りはないだろう。一方で、大山がFA行使した理由に挙げた「他球団からの評価を聞きたい」について、坂本も思いは同じだった。交渉を代理人の弁護士に一任していた時点で、坂本もFA行使する、とみていた。 坂本は「誰もがいただける権利ではないですし。自分の立ち位置とか、いろんなことを知りたいという思いはありました」と残留会見で明かしていた。千載一遇のチャンスだったにもかかわらず、放棄。〝虎一筋〟を決断した。 球界関係者の一人も「驚きだった。複数球団が、坂本を獲得するための調査をしていたという情報があったから。FA宣言していれば、注目された選手の一人だったはず」と明かした。そこで必ず手を挙げるとみられていたのは、正捕手の甲斐がFA宣言したソフトバンクだ。豊富な資金力で、阪神を大きく上回る条件を提示していたかもしれない。 明大から2016年ドラフト2位で入団。梅野の壁に阻まれ、捕手2番手だったが、昨季はけがで離脱した梅野に代わって、シーズン後半は孤軍奮闘。18年ぶりのリーグ制覇と38年ぶりの日本一に貢献。捕手部門でゴールデングラブ賞に輝いた。投手陣から絶大な信頼を受けるインサイドワークと、今季年俸は7000万円(推定)で人的補償も金銭補償もいらないCランクというのが最大の魅力だった。 「阪神ファンでいっぱいの甲子園のキャッチャーのポジションに座って、あの景色を見る」。 「タイガースのユニホームでまた優勝、日本一を目指すということしか、いまはない」 坂本はFA権を行使しなかったことに悔いなしを強調したが…。宣言残留はOKだった。自分が同じ立場なら他球団の評価を聞いて、今後の野球人生の〝指針〟にしていただろう。(三木建次)