継続されるバスケ女子日本代表のレガシーと走り勝つスタイルで五輪切符獲得
「みんなのために」受け継がれる女子日本代表のレガシー
「(カナダ戦は3ポイントシュートを打つ機会が少なかったが)焦らずに、みんながいるから大丈夫だと思っていました」(林) 「リバウンドは、みんなでカバーしながらできたと思います」(山本) 「自分のシュートが入らなくても『みんながいる』という気持ちを持って戦うことができました」(馬瓜ステファニー/モビスター・エストゥディアンテス[スペイン]) 3試合を通して、選手たちの口からは多く、『みんな』といった言葉が聞かれた。 アナリストやアシスタントコーチを歴任し、15年近く女子日本代表に携わっている恩塚HCは「女子日本代表は、チームのカルチャーというか『チームのために、みんなのために』という思いが本当強くあります。だから自分のことよりも、チームのこと。そんな思いを持てる選手たちなんです。(カナダとの)試合前に伝えたのは、みんなを信じられるからこそ、コート上で自分の体力考えずに走れる、戦える、ぶつかれる。冷静にプレーできる。私がやらなきゃとならなくていいよねと。私はそこが勝つカギになると思っていましたし、それをまさに選手たちはやってくれたと思っています」という。 多くの国際大会に10代から出場し、リオオリンピックではキャプテンを務め、今シーズンから選手として復帰した吉田亜沙美(アイシンウィングス)も4年ぶりに戻ってきた日本代表について同じようなことを語っていた。 「日本代表に選ばれた選手たちは本当に仲間のためにチームのために戦える選手たち。(日本代表とは)そういうメンタルを持ったチームで、私自身久しぶりに戻ってきましたが、それが継続されていることがうれしかったです。自分たちのバスケットを信じて、苦しい時間帯も我慢して、お互いを信じて戦うことができました」 2年前、9位という順位だけでなく、チームの強みを発揮し切れないまま終わった「FIBA女子バスケットボールワールドカップ2022」。その大会を経験している髙田は、ワールドカップからの成長を問われると、「自分たちを信じることです、なかなか結果に結びつかない時期もありましたが、そういったことを含めて自分たちの力を信じてもう一回やり通したことはすごく大きかったと思います。選手の中でも、コミュニケーションを取ることが増えていきました。そうやってコミュニケーションを自分たちで取っていくというのが、このチームの一つの特長かもしれません」と、力強く発した。 チームのため、仲間のためにという思いを持ちながら、疑問や課題が出ればすぐに声を掛け合って確認する。練習からスタッフも含めてそうしたコミュニケーションを重ね、細かいところまで突き詰めていった選手たち。スペインリーグで戦っている馬瓜ステファニーを除く11名は、自チームに戻り2月23日から始まるWリーグに戦いの場を移す。ともに一つの目標に向かった仲間は、これから最高のライバルとして切磋琢磨していく。 文=田島早苗
BASKETBALL KING