唐沢寿明「ネットでたたかれる。なんだかなぁ、と思いますよ」コンプライアンスにがんじがらめの現代への思い明かす
映画『九十歳。何がめでたい』では昭和の男、編集者の吉川真也を演じている
まわりからどう思われるのか臆病になりすぎて口を閉ざし、その反面、匿名で悪口を言う現代。だからこそ堂々と「これはおかしい!」と言ってくれる佐藤愛子氏のエッセイ『九十歳。何がめでたい』(小学館)は、幅広い人々から圧倒的な支持を受けてベストセラーになった。 「佐藤先生は若いころにとても苦労されていて、その経験を描いた『戦いすんで日が暮れて』(講談社)はリアリティがあったし、本音を書いたエッセイが支持されてきたんだと思うんです。まして、コンプライアンスやら忖度(そんたく)やらにがんじがらめの今、90歳の佐藤先生がこんなのおかしいわよ!と声を大にしてくださったのは、痛快だったと思いますね」 映画は、断筆宣言をして家にこもっていた佐藤愛子に、大手出版社の女性誌編集者・吉川真也がエッセイの執筆を持ちかけるところからスタートする。 「ぼくが演じた吉川という男は、仕事人間で家庭のことは妻に任せっぱなしにした結果、妻と娘から愛想を尽かされるわけだけど、昭和の夫としては特に珍しくないんだよね。でも、女性の方が時代に対応する能力に長けているからこんなのおかしいとなる。だっていまは、女性が生き方を選択できる時代だから。もっと言えば、女性の方が社会に必要とされている感じがする、男性より」 唐沢寿明(からさわ・としあき) 1963年6月3日生まれ、東京都出身。’87年に舞台『ボーイズレビュー・ステイゴールド』でデビューし、映画、テレビドラマで活躍。主な出演作は、大河ドラマ『利家とまつ~加賀百万石物語』(NHK)、『白い巨塔』(フジテレビ系)、『ルーズヴェルト・ゲーム』(TBS)、『フィクサー』シリーズ(WOWOW)、映画『ラヂオの時間』、『20世紀少年』シリーズなど。声優としてはアニメ映画『トイストーリー』シリーズでウッディの声を務める。 工藤菊香
工藤菊香