『運慶展 運慶と三浦一族の信仰』横須賀美術館で 運慶の真作といわれる《阿弥陀三尊像》《不動明王像》《毘沙門天像》の5躯を公開
鎌倉幕府成立前後の12-13 世紀の横須賀・三浦半島を拠点に大きな力をもった武士・三浦一族。そのゆかりの寺に安置された、運慶ら当時一流の仏師の手による仏像群を紹介する展覧会が、10月26日(土)から12月22日(日)まで、神奈川県の横須賀美術館で開催される。 【全ての画像】《観音菩薩坐像》ほか 同展は、「運慶と鎌倉」をテーマに、神奈川県立金沢文庫、鎌倉国宝館とともに開催する連携展示のひとつ。鎌倉幕府と三浦一族、そして運慶が結びつくことによって生まれたこの地域における中世仏教文化の至宝を、館ごとに異なるテーマで紹介し、中世の鎌倉を深掘りする趣向だ。 平安末期から鎌倉時代の初期に奈良で活躍した運慶は、新政権の鎌倉幕府と結びつき、北条氏の信頼を得て東国でも仏教彫刻を展開した仏師。その運慶の真作として確実視される像は、現在はおよそ30躯と言われるが、横須賀市の浄楽寺は、そのうちの5躯を安置する。三浦一族のひとり、和田義盛の依頼で制作された阿弥陀三尊像、不動明王像・毘沙門天像の5躯で、いずれも国指定の重要文化財。今回は、浄楽寺の収蔵庫の改修にともない、この真作5躯がそろってお出ましになる二度とないであろう貴重な機会となっている。地元・横須賀美術館での公開ももちろん初めてのことだ。 この運慶作の5躯の仏像を中心に、同展では三浦一族の篤い信仰心を伝える他の仏像も紹介する。たとえば、同じく和田義盛の所持と伝わる重要文化財の薬師如来坐像(三浦市・天養院)は11世紀の作と見られる仏像で、運慶の時代を約100年遡る時代にすでに、京都から遠く離れた東国で高度な仏教文化が育っていたことの証となるもの。また、中国・南宋時代の13世紀作と見られる舶来仏の観音菩薩坐像(横須賀市・清雲寺)は、三浦半島の宗教的先進性を伝えてくれる。地域の仏像文化の粋とも言える全9躯の仏像から、東国武士の祈りのかたちにも思いをはせたい。 なお、鎌倉国宝館では『鎌倉の伝運慶仏』(2024年10月19日-12月1日) が、神奈川県立金沢文庫では『運慶―女人作善と鎌倉幕府―』(2024 年11月29日-2025 年2月2日)が提携展として開催される。各館をめぐる周遊促進企画として、観覧料割引等が予定されているので、公式サイトで事前チェックをお忘れなく。 <開催概要> 『運慶展 運慶と三浦一族の信仰』 会期:2024年10月26日(土)~ 12月22日(日) 会場:横須賀美術館