名古屋市長戦でもSNSが候補者の明暗に影響 専門家「広がった言説が選挙を支配」
SNSがマイナスに働くことも…
ただ、このSNSの情報が候補者にとってマイナスとなった面もあったようです。 「デマ・誹謗中傷・レッテル貼りの影響というのも一定程度あったかなと」(大塚耕平氏) 選挙期間中、敗れた大塚氏が「増税派である」かのような、本来の主張とは異なる情報がSNS上で出回ったといいます。 大塚氏はSNSで、これに反論する動画を投稿するなどして対応しましたが、一部に広がってしまった誤った情報を完全に払しょくするまでには至らなかったと肩を落とします。 「SNS上のデマを口コミで聞かれたSNSを利用されない方、高齢者は否定する情報を伝えるすべがなかった」(大塚氏) 現代政治分析が専門の法政大学大学院白鳥浩教授は、今回の名古屋市長選、SNSで広がった言説が勝敗の分岐点のひとつだったと話します。 「広沢氏は市民税減税を10%にしていくという強いメッセージを有権者に伝えていった。それに対して大塚氏は、なかなか強いメッセージを発することができなかった。選挙戦最終盤になってくると、広沢氏が言っている減税なのか、そうではないのか、増税なのかというような“一つの言説”がこの市長選を支配するようになってきた」(法政大学大学院 白鳥浩 教授)
SNSが情報収集の手段に
選挙での情報収集の手段として主流になりつつあるSNS。街の人は、どのように捉えているのでしょうか? 「公式アカウントだったら気にする必要はないと思うが、素人目線でやっているアカウントはデマ情報もあると思うので、あまり真に受けないようにしている」(10代) 「テレビで放送されていることとSNSで発信される内容が違うことも多い。どっちが本当かわからなくなる」。(30代) 白鳥教授は、既存のメディアとの特性の違いを理解したうえでSNSを活用することが重要だと指摘します。 「これまでであれば新聞やテレビで、十分なファクトチェックをした情報が流れ、それを信じるという流れだった。大手メディアで『報じられない真実があるのかもしれない』という既存の政治に対する疑問を埋めていくのがSNSなどの新しいメディアという見方もできる」(白鳥教授)