韓国中銀、10会合連続で金利据え置き 下期利下げ「判断難しい」
Cynthia Kim Jihoon Lee [ソウル 12日 ロイター] - 韓国銀行(中央銀行)は12日、政策金利を15年ぶり高水準の3.50%に据え置いた。据え置きは10会合連続。インフレ見通しの不透明感や輸出の強さを踏まえ、年内の利下げは難しいとの見方を示した。 李昌ヨン総裁は会見で「6カ月程度先の見通しを立てるにあたり、下半期の利下げの可能性について判断するのは難しいと私を含む理事全員が判断した」と述べた。 ロイターが実施したアナリスト調査では39人全員が据え置きを予想していた。 韓国中銀は政策金利を引き下げる前にインフレ率が目標の2%に向けて低下しているという確信を得るため、一段の進展を確認する必要があるとしてきた。 3月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年比3.1%で2月と同じだった。1月までは3カ月連続で鈍化していたことから、中銀が緩和を検討するのは時期尚早との見方が出ていた。 輸出は、旺盛な半導体需要を追い風に輸出が6カ月連続で増加している。 <声明で利下げの可能性残す> 李総裁は今年中の利下げは難しいとの見方を示したが、中銀の政策声明では重要な変更があり、利下げの可能性が残っていることを示唆した。 今回、「十分な期間、制限的な金融政策スタンスを維持する」と表明。2月の声明の「十分に長い期間」から「長い」を削った。 新栄証券のアナリスト、チョ・ヨング氏は「きょうの李総裁の発言には曖昧さがあった。利下げは示唆せず、理事が予測するのは難しいと述べた。一方、声明では『長い』が消え、向こう半年の間に利下げする可能性を残した」と述べた。同氏は、年後半に2回の利下げを予想する。 アナリストは、第3・四半期と第4・四半期に25ベーシスポイント(bp)ずつ利下げし、政策金利の現行の3.50%から年末までに3.00%に下げると予想している。 <原油高、ウォン安> 李総裁は、海外中銀の政策運営を注視していくと述べた。 欧州中央銀行(ECB)が6月利下げ開始の可能性を示唆する一方で、米国ではインフレ圧力の粘着性が示され連邦準備理事会(FRB)の利下げ時期に不透明感が出ている。韓国中銀も国内物価情勢に応じて、独自に政策対応を修正することが可能ともいえる。 韓国中銀が懸念するのは、ウォンが年初から対ドルで約6%下落する中、原油価格の上昇と輸出の改善が新たなインフレ圧力を引き起こすことだ。 李総裁は、ウォン安が心配かとの質問に、最近のウォン安が行き過ぎか監視しているとした上で、中銀は必要に応じて為替市場を安定させる手段を有していると述べた。