英紙が『ドラゴンボール』新作に思う「日本アニメが世界で成功する秘訣は“国内ファン第一”に作り続けること」
コロナ以降、日本アニメの人気は海外で急上昇しており、10月に地上波での放送が始まった『ドラゴンボールDAIMA』はほぼリアルタイムで世界配信されている。海外ファンにとっても画期的なこの出来事を機に、日本アニメが世界市場で快進撃を続けるカギを英紙が考察している。 【画像】英紙が『ドラゴンボール』新作に思う「日本アニメが世界で成功する秘訣は“国内ファン第一”に作り続けること」 2018年、まだ一介の衆議院議員だった石破茂は、ピンクのボディスーツにぶかぶかのパンツ、紫のマントを着用し、地元・鳥取県のイベントに出席した。 先頃、石破が首相に就任した際、この奇抜な服装をした6年前の写真がいっとき注目を集めた。一部の国民はこの歴史に残るいで立ちを冷笑したが、これが何のコスプレかを知る人たちは大喜びした。 真面目なイメージの強い石破が、『ドラゴンボール』の悪役・魔人ブウのコスプレ姿になったことを、ニッチすぎる選択だと感じる人もいるかもしれない。だが当時もいまも、『ドラゴンボール』のファンは多く、魔人ブウの知名度も高い。 つまり石破のこのコスプレは、影響力がすべてのこの世界で、日本の力を示すのに最適な手段だったと言える。日本アニメはいま、世界のエンタテインメント業界を席巻している。今後は、その文化をどのように守っていくかが重要となる。
急拡大する海外アニメ市場
現在、世界には日本アニメのファンが8億人存在する。業界の重鎮たちは、この人数がまもなく10億人に達するだろうとみる。その予測が現実のものとなれば、世界のアニメファンの数は、将来的にテニスファンの数に匹敵することになる。 アニメ産業についての最新の報告書によると、海外の日本アニメ市場は国内とほぼ同規模で、しかもいまも成長し続けている。日本のアニメ業界が好むと好まざるとにかかわらず、今後、国外需要は国内のそれをしのぐだろう。 世界的なアニメ人気を加速させている立て役者が、ソニーグループ傘下の動画配信サービス、クランチロールだ。同サービスは、1400本以上のアニメ作品を200ヵ国以上の国や地域に配信している。 ソニーがクランチロールによって自社制作の映画やテレビ作品を世界中に配信することを目論む一方、ネットフリックスやその他の動画配信サービスもまた、大量の日本アニメを世界に発信している。 コロナ禍に盛り上がったエンタメは他にもあるが、しだいに勢いを失った。だが日本アニメに対する需要は、2022年からずっと右肩上がりだ。リサーチ企業の帝国データバンクによると、2023年の日本のアニメ制作業界全体の売り上げは前年比23%増と、歴代最高を記録した。 2024年、その記録はさらに更新されるかもしれない。米大手投資銀行ジェフリーズのアナリストによれば、2023年に312億ドル(約4兆7700億円)規模だった世界のアニメ市場は、2030年までに600億ドルに成長する見込みだ。かつて日本独自のジャンルだったアニメが、いまや欧米でもカルチャーのいちジャンルになりつつあるからだ。
Leo Lewis