34歳の女性「10年間の恋」を叩き落とした、既婚上司の思いがけない「飴とムチ」…上司は起業して会社を去り、ひとり取り残された
既婚上司に片思いしていた女性
言うまでもないが、理想の結婚生活、理想のお相手というのは人によって違う。 しかし結婚相談所でのお相手探しとなると、女性は高学歴、高身長、高収入を求め、男性は見た目と若さを求める。そのほかにも人気の職業、気遣いなど、優しい笑顔など、いわば“条件面”で秀でている人が人気の婚活者という画一的なものが多い。 【マンガ】マイホームは「持ち家」か?「賃貸」か? ついにその「答え」がわかった! 日常生活での出会いならば、まずはフィーリングが合うかどうかが、第一条件となりやすいのだが、ここが時間の限られた条件婚活の不条理なところである。今回は、その画一的な条件から外れた婚活を自ら望んできた奈津美さん(34歳、仮名)の話をしたい。 奈津美さんは初対面の時から礼儀正しく、落ち着いた話し方をする人だった。結婚相談所の入会に至る経緯はこうだ。 「職場にずっとずっと好きな人がいたんです。でもその人が会社を辞めることになって。すっぱりと諦めるためにも結婚しようと思ったんです」 新卒で入社した時からずっと一緒に仕事をしてきたという一回り年上の上司で既婚者だという。 20代の頃に社内不倫をし、30代になって焦って関係を解消して結婚相手を探し始めるという例をよく聞く。 ある調査によると、社内不倫を経験した割合は3割にも達するという。家族よりも長い時間を過ごす職場で、目的を共有する関係として、職場内で恋愛感情が芽生えやすいというのは理解できる。事実、近年は減りつつあるものの、結婚相手と出会った場所の第1位は「職場・取引先」となっている。 しかし、よくよく聞き進めてみると、奈津美さんはその既婚上司が好きな人というだけで、社内不倫をしていたわけではなさそうだ。 それどころか、奈津美さんから告白をしたり、相手から関係を持ちかけられたり、あるいは一緒に食事や飲みにいったりしたことも一切なく、完全なる奈津美さんの片思いだった。 奈津美さんの心に秘められた「好き」は誰にも知られることなく、その純粋に貫かれた想いは尊いとも言えよう。しかしそれによって、婚活にもストッパーがかかってしまって、愛するパートナーと出会い、家庭を築き上げる幸せに辿り着けないといった問題を抱えていたのだ。 奈津美さんのこれまでの恋愛経験を尋ねてみると、大学時代に同じ学校の一つ年上の男性と3年間交際していたそうだ。先に社会人になった彼から何度か結婚をほのめかされたものの、当時まだ学生だった奈津美さんには、結婚そのものが遠い遠い未来の話でピンとこなかったという。 その後、彼から社内で出会った年上の女性と結婚することになったと告げられ、あっさりと振られてしまったそうだ。結婚願望の強かった彼の気持ちにすぐには応えられなかったという奈津美さんなりの負い目があり、彼だけを責める気持ちにはなれなかった。