<ラグビー>強豪相手に今季初勝利のサンウルブズ。何がどう変わったのか?
世界最高峰リーグのスーパーラグビーに日本から参戦2年目のサンウルブズが4月8日、本拠地の東京・秩父宮ラグビー場で今季6戦目にして初勝利を挙げた。 ベン・ヘリングディフェンスコーチのもと、接点周りのタックラーの連携と蹴った後の組織的なチェイスを整備。攻めては飛び出す大型センターの裏へキックを通すなど、田邉淳アタックコーチの計画も奏功した。そこへ、復帰したばかりの主戦級がスパイスを加えた。 この日の相手だった南アフリカのブルズは、過去3回の優勝を誇る古豪だ。いまも同国選手を10名、擁している。ところが今季はここまでわずか1勝で、今回は約2週間のニュージーランド遠征を経ての来日だった。スタンドオフのハンドレ・ポラードら、主力数名はメンバーに入らず。前に出ながらパスを乱すなど、ミスを連発した。 最終スコアは21-20。作戦と準備に芯を通したサンウルブズが、不揃いの巨躯たちを沈めた格好だ。終了間際に、逆転のペナルティーゴールを与えたが失敗に終わり最後まで綱渡りだった展開をしのぎ切った。 スクラムハーフの矢富勇穀は、11-20と9点差を追う後半28分から登場。勝ち越して迎えた後半39分、敵陣深い位置でターンオーバーを決め、安堵の表情を浮かべた。 「あそこは相手の攻めが単調になってきていて、僕たちのディフェンスが前に出ていた。(攻める相手の)人数が少なくなるかな、というのが何となくわかっていて…」 開幕5連敗を喫した2、3月は、多くの代表経験者が相次いでチームを離脱。その一部は、ジェイミー・ジョセフ日本代表ヘッドコーチらの意向で休みを与えられていた。 日本のスーパーラグビー参入後、一部プレーヤーの試合出場過多という問題が生じていた。多くの選手は、物心両面で支えてくれる国内所属先をないがしろにできない。結果的に、サンウルブズでのプレー機会がひとまず調整されることとなった。 それらのコンディション調整は、サンウルブズが、今季、ジョセフ率いる日本代表と密な連携が取れていることを示している。追加招集を含めた全56人中34人が日本代表キャップを持ち、コーチ陣の多くが代表スタッフと兼務。選手も戦術も互いにリンクした。結果が出ないなかでも、内容を充実させていた。 さらに4月になれば、多くの休暇組が復帰した。そのひとりであるスクラムハーフの田中史朗は、練習中に大声を張り続けた。動きながらの対話の重要性を何度も確認したのだ。 代表キャップを持たぬフランカーの徳永祥尭は、経験者の合流がチームを引き締めたという。 「僕らがないがしろにしてしまうようなことも、細かく言ってくれた」