「中国人のふりをしろ」コンゴ人記者は言った 現代の“植民地”と化した原爆ウラン鉱山周辺(後編)
「国営時代、住民は鉱山に入って銅やコバルトの鉱石を拾い、業者に売ることが黙認されていました。しかし外国企業は武装した警備員を雇い、住民を鉱山から徹底的に閉め出した。慣習が壊され、多くの人々が生活手段を失ったのです」 コンゴ南東部の地下にはシンコロブエ鉱山に限らず、ウラン鉱床が広がっているとみられる。第2次大戦中の米公文書にも、良質なウラン鉱石の採掘が見込めるとして、具体的に二つの地名が挙げられている。キシンバを含む複数の地元人権活動家は、外国企業の進出で、偶発的に見つかったウランが流出するリスクが高まったとみる。 「鉱石拾いができなくなったことで、夜中に鉱山に忍び込んで盗掘する住民が増えました。違法に採掘した鉱石を買ってくれるのは当局の監視が届きにくい闇業者です。銅やコバルトに交じって採掘されたウランを狙う業者があってもおかしくありません」 ▽「ウランの毒は気にしない」 実際に盗掘に関わっている人の話が聞きたい。スラム街を探し回り2人から了解を得た。中国系の鉱山に忍び込んでいる、それぞれ別グループのメンバーだ。その一人、キサフ・キラ(21)はこう証言した。
「鉱山のなじみの警備員を買収しています。時間制で、自分のグループは1時間当たり5千コンゴ・フラン(約280円)を渡して採掘します。ウランは毒なので狙いません。リーダーからは『服についた砂利をライトで照らした時、青白く光ったら大量のウランがある危険な場所だから離れろ』と指示されています。鉱石はインド人が買ってくれます。もし少量のウランが交じっていたとしても区別できないし、気にしません」 マオリス(24)とだけ名乗ったもう一人は、いとこが2018年までシンコロブエ鉱山で盗掘をしていたという。 「最近までシンコロブエに入っていたグループを知っています。彼らの狙いはウランではなくコバルトです。閉山したので、純度の高いコバルト鉱石が残っているんです。でもここ数年で警備が厳しくなり、盗掘に入って射殺されたという話も聞きます。とても危険になったので、シンコロブエの盗掘はほとんどなくなったでしょうね」