“日本のエース”山本由伸は貫禄の最高評価。ともに故障離脱の大谷と佐々木朗の評価は?【WBC侍ジャパン戦士の2023年通信簿:投手編】<SLUGGER>
■湯浅京己(阪神) 通信簿:可もなく不可もなく 独立リーグ出身選手では史上初のWBC出場。侍ジャパン初戦の中国戦で1イニングを3者三振に仕留め、準決勝でも登板するなど3登板で自責点ゼロに抑えた。シーズンでも当初はクローザーを務め、開幕戦でプロ初セーブを挙げたが、4月半ばに右ヒジ、夏場には左脇腹を負傷してわずか15登板に終わった。それでも日本シリーズ第4戦では同点の8回2死一、三塁のピンチを1球で抑え、直後の逆転劇を呼び込んだ。 ■高橋奎二(ヤクルト) 通信簿:がんばりましょう WBCでは1次ラウンド最後のオーストラリア戦に2番手として登板し、2イニングを投げて無失点に抑えたが、救援の調整法やボールの違いに戸惑うなど存在感を示せず。戸郷と同じようにダルビッシュ有直伝の縦に曲がるスライダーを持ち帰ったが威力は発揮できず、リーグ最多の20本塁打を浴びてしまった。好調と思える試合がなかったと語るほど苦しんだが、将来的なメジャー挑戦も見据えて来季のリベンジを誓う。 ■大勢(巨人) 通信簿:がんばりましょう オーストラリア戦が初登板とWBCデビューは遅れたが、マイアミでは準決勝と決勝で連投して無失点に抑えるなど、終わってみればチーム最多の4登板。ただ、シーズンでは6月下旬に右腕のコンディション不良で長期離脱し、27登板は新人王を獲得した昨季から半減。投球の軸であるストレートとフォークがそれぞれ被打率1割以上も悪化し、防御率4.50と2年目のジンクスに苦しんだ。 ■ダルビッシュ有(パドレス) 通信簿:がんばりましょう 宮崎合宿から侍ジャパンに合流し、唯一のWBC経験者として投手陣のリーダー的存在に。自身の投球は決して万全ではなかったが、チームの雰囲気づくりや若手へのアドバイスで優勝の影の立役者となった。6年1億800万ドルの契約延長を結んだパドレスでは6月にメジャー通算100勝目を挙げるも防御率4.56とこちらも本調子ではなく、右ヒジの炎症でひと足早くシーズンを終えた。 ■栗林良吏(広島) 通信簿:がんばりましょう 東京五輪で胴上げ投手となった守護神は、WBCでは腰椎椎間板症により登板がないまま1次ラウンド後に代表を離脱。4月半ばのシーズン初登板でも黒星を喫し、6月には防御率7点台まで悪化し、一時はクローザーの座を剥奪された。終盤に持ち直して防御率は2.92まで下げたが自己ワーストの7敗を喫し、過去2年記録していた30セーブには届かず(18セーブ)、クライマックスシリーズでもサヨナラ打を浴びた。 文●藤原彬 著者プロフィール ふじわら・あきら/1984年生まれ。『SLUGGER』編集部に2014年から3年在籍し、現在はユーティリティとして編集・執筆・校正に携わる。ツイッターIDは@Struggler_AKIRA。