鈴木知事、リニアのボーリング現場初視察 JR東海のリスク管理「順調」と評価
鈴木康友知事は5日、長崎幸太郎山梨県知事とともに同県早川町を訪れ、リニア中央新幹線南アルプストンネル工事の事前調査で山梨県から静岡県に向かって進められている高速長尺先進ボーリングの状況を初めて視察した。県境を超えてのボーリングを受け入れるにあたり、鈴木知事はJR東海のリスク管理を「順調」と評価し、同社に慎重な調査を継続するよう求めた。 両知事は、早川町の広河原非常口から先進坑内に入り、県境まで約460メートルの地点まで掘り進められた先進坑先端部付近に移動。JRの担当者から、ボーリング湧水の状況や水質管理、不測の事態が発生した際の湧水流出の止め方などの説明を受けた。 JRによると、ボーリングは開始地点から244メートル(県境まで257メートル)まで進んでいる。同社は、削孔(さっこう)10メートルあたり毎秒50リットルを湧水量の管理値としていて、県境まで300メートルに達した9月19日以降は管理値の0・08%に収まっているという。管理値を超えた場合はボーリングを中断するなどの対応を決めている。 鈴木知事は視察後の取材に「事前のリスク管理や慎重な調査をJRに求めてきたが、そういう取り組みがなされていると実感した。今のところ県民に安心してもらえる状況にあると思う」と述べた。その上で「工事の過程でどういう事態が起きるか分からない。慎重かつ安全に調査を進めてほしい」と求めた。長崎知事も「事実に基づいた議論をして、両県民の理解を得ながら進めることが重要」と述べた。 両知事の視察を受けて、JR東海の水野孝則副社長は「山梨、静岡と双方向のコミュニケーションをしっかり図って取り組んでいきたい」とコメントした。
静岡新聞社