<新潟国際アニメーション映画祭>アニメの“境界”は破壊できるか? 第2回は高畑勲特集 富野由悠季、湯浅政明も
長編商業アニメの映画祭「第2回新潟国際アニメーション映画祭」が3月15~20日に新潟市内で開催される。長編アニメのコンペティション部門を設けたアジア最大級の祭典を目指し、新潟から世界にアニメという文化を発信していくのが狙いで、昨年3月に第1回が開催された。キャッチコピーは「新潟は、アニメーションのあらゆる境界を破壊する」。「境界」「破壊」とは何か? 第1回に続き、プログラム・ディレクターを務めるアニメーション・ジャーナリストの数土直志さんに、映画祭への思いを聞いた。 【写真】新潟で伝説のアニメ上映 絶対に円盤にならない!? 制作の裏側も
◇アニメを文化として育てていく役割
アニメは「商業」と「アート」、「国内」と「海外」などに分断されているとも言われているが、分断をつなぎ、文化と産業をつなごうとしていくことが目的の一つでもある。
第1回は、押井守監督が審査委員長を務めたことも話題になり、大友克洋監督、りんたろう監督、片渕須直監督、渡辺信一郎監督、磯光雄監督、永野護監督らも登場するなど大いに盛り上がった。成功があった一方で、課題も出てきた。
「普段はなかなか見られないものが見られる映画祭にもなりましたが、海外の作品、日本の作品、さまざまなジャンルの作品が同時にあるという最初に目指した試みはやはり難しいところがありました。世界にはいろいろなアニメがあり、そこには断絶もあります。アニメの多様性を示すことができましたが、結果としてやっぱり溝があり、融合するのは難しいと改めて感じました。断絶がありますが、映画祭で多様性を見せていく試みは続けていきたい。地道な努力が必要で、それこそが映画祭の役割だと感じています。人気のある作品ばかりを並べて、人を集めるのは、ある意味で容易なのですが、アニメを文化として育てていく役割があります。素晴らしい作品も見てもらわないと分からない。見てもらうまでのハードルがまだ高いと感じています」
第1回ということで、広く認知されていたわけではない。それでも続けていくことが大切だ。