「経験値だけでここまで」西日本短大付15安打猛攻で優勝 スローガンは「挑」…「自分たちは強くない」【高校野球秋季福岡大会決勝】
◆九州地区高校野球福岡大会決勝 西日本短大付16―3育徳館(13日・小郡市野球場) 今夏の甲子園に出場した西日本短大付が、15安打16得点の攻撃で育徳館を大差で破り、秋の優勝は2022年以来2年ぶり。 ■夏の甲子園決勝に人気女優がお忍び観戦【写真】 スタメン9人中7人が甲子園でプレーした経験豊富なチームだが「甲子園から戻って練習する時間もなくて、練習試合は4試合しかしていない。経験値だけでここまで来られた感じ」と西村慎太郎監督は夏の大会に続く福岡大会優勝を決めてホッと表情を緩めた。 2―1で修猷館に辛勝した準決勝から一転、持ち味の強打が力を発揮した。1回に斉藤大将(2年)の3ランで先制。5回には同点とされたがここから打線が爆発。5回裏に5安打ながら打者11人の攻撃で5得点。勢いに乗った打線は6回も長打3本が飛び出して6得点と2度のビッグイニングを作った。7回にも2点を追加。「甲子園で全国レベルの投手と対戦した経験は生きているかな。でも新チームなので相手投手が緩急をつけてくると抑えられてしまう。そこで我慢してやれた。今日も同点になっても落ち着いていましたね」と西村監督は成長途上のチームを見守る。 現チームの4番を任されている佐藤仁(2年)は6回に左翼線二塁打を放ち猛攻の口火を切った。「準決勝は当たっていなかったので、左方向へしっかり振ることだけ考えていました」とバットを振り抜いた。チームでトップを争うイングスピードを誇り、今夏の甲子園で3回戦の京都国際戦で代打出場。三振に倒れたがフルスイングでスタンドを沸かせた。新チームで4番となり「最初はプレッシャーがすごかったけど、つなぐのがチームのモットーなのでそれを意識して気負わずに打っています」と一発を狙わず役割を果たすことに徹している。 先制3ランを放った斉藤は「準決勝では右肩が開いていて打てなかったので、開かないよう意識したら体の回転でインコースが打てて本塁打になりました」とフォームを修正して公式戦初本塁打が飛び出した。打順は甲子園では6番だったがクリーンアップを任され「秋の大会は思ったような打撃ができていなかった」と振り返るが、大事な決勝で結果を残した。 新チームスタート時にみんなで話し合って決めたスローガンは「挑」。「自分たちは強くない。挑戦する気持ちで這い上がっていくという思いがあります」と斉藤は全員の思いを代弁する。夏の甲子園4強の神村学園(鹿児島)など強豪が集まる九州大会も、挑戦者として一戦ずつ前へ進み、明治神宮大会出場を目指す。(前田泰子)
西日本新聞社