「副知事島耕作」広告効果は… 佐賀県試算は10億3000万円 コラボで話題化狙い 議会からは実体経済への影響、疑問視の声も
佐賀県は5日、企業やブランドとのコラボによる情報発信プロジェクト「サガプライズ!」について、2023年度の事業費1億3500万円に対し、メディア露出の広告換算額で10倍以上の16億3千万円の効果が出ているとする速報値を示した。人気ビジネス漫画「島耕作シリーズ」の主人公が副知事に就任するコラボは広告換算で10億3千万円と試算。山口祥義知事は「知恵を出し合って話題化する佐賀ならではのプロジェクト」と強調、一方で議会からは県産品の売り上げ増につながっているかをいぶかしむ声もある。 【画像】2023年度の「サガプライズ!」の事業費と成果
「サガプライズ!」は13年度からスタート。事業費1億3500万円で3本程度のコラボを実施し、年間10億円の広告換算額の獲得を目指している。23年度は「副知事 島耕作」のコラボに4500万円を計上。2月28日時点までの約4カ月の効果を10億3千万円とした。
クリエイティブ集団「entaku(エンタク)」とのコラボで、東京・表参道で開催した目隠しで県産食材を言い当てるイベントは事業費3800万円に対し、広告換算額約4億円。韓国や台湾で人気のオンラインゲーム「リネージュW」とのコラボは事業費2600万円に対し、国内メディア分だけで広告効果約2億円との数字を示した。
プロジェクトに関し、2月定例県議会の一般質問で藤木卓一郎議員(自民)が「(予算の)主要事項に上がっておらず、議会のチェックを受けずに実施されている」と、事前の情報提供や説明が十分ではないとするなど議案提出の在り方を問題視。実体経済にどれだけ結びついたかについても疑問を呈した。
県政策部の平尾健部長は「『話題の最大化の追求』と『コラボ相手との信頼関係』の2点にこだわっている」と説明。仕掛けが驚きを持って拡散されるよう、情報管理を徹底しているとした。加えて、事前に情報がリークされた場合、「コラボ先の企業運営に影響を及ぼし、その業界での県の信用が失われる危険性もある」と強調した。
山口知事は「さまざまな交渉の中で決まっていくのが特徴のプロジェクト。あらかじめ1年分まとめてセットして提案できるものではない」とし、「単純に広告を打つのではなく、あらゆる情報があふれる中で選ばれる注目される広告をつくっていくことが大切」と理解を求めた。(栗林賢)