『虎に翼』岡田将生「なるほど」の巧みな使い分け 平田満による圧巻の“序文朗読”も
優三(仲野太賀)の法律の本を出すという夢を叶えた寅子(伊藤沙莉)
家事部と少年部の親睦を深めようと昼食会を企画した寅子だったが、蓋を開けてみると誰も集まらなかった。寅子の妄想の中では小橋(名村辰)が現れ、「目立つ女は嫌いだ」「いい加減、現実見ろ」といった言葉を投げかけてくる。寅子は「現実って何ですか。理想は掲げ続けなきゃただのゴミくずですよ」と一段と荒ぶっていた。それにしても小橋の扱いが雑すぎてかわいそうになってくる。どこかで彼の内面を掘り下げてほしいが……。 甘味処・竹もとでは寅子と航一は星長官の原稿を待っていた。航一が『日常生活と民法』の表紙を取り出して見せると、そこには「佐田寅子補修」という文字が。驚く寅子に航一は「お手伝いの度はとうに超えていますよ」と話す。法律の本を出すことが夢だった優三(仲野太賀)のことを思い出し、寅子は「代わりに夢を叶えたってことにしちゃおうかしら」と笑顔を見せる。航一はいつものように「なるほど」と返事をするが、その温度感はいつもとは違っていた。「そんなふうに喜んでもらえるならば、父さんも出がらし冥利に尽きます」と星長官が穂高(小林薫)に最高裁判事を依頼した日のことを明かし、「この本は、父なりの出がらしの役目なのかと」と明かした。 そこに序文を完成させた星長官が竹もとを訪れると、自ら書いた序文をその場で読み上げる。読み終わると、寅子や航一だけではなく、その場に居合わせた竹もとの客も拍手を送った。平田満の朗読はまるでその場にいるようななんとも言えない胸の高鳴りを覚えた。しかし、本の出版を前に星長官は亡くなってしまった。優三の夢を叶えた寅子は未来へとまた歩み始める。
川崎龍也