かつての旋風どこへ 地域政党に未来はあるか
統一地方選は後半に突入していますが、名前通りの「地方」や「地域」の土台は揺らいでいると言えそうです。前半戦では低投票率は言わずもがな、4年前に旋風を巻き起こした大阪維新の会や減税日本などの勢いが失速、自民を中心とした既成政党への揺り戻しがあらわになりました。後半戦も失望や無関心といった「逆風」が吹きやみそうにない中で、地域政党に未来はあるのでしょうか。 【図】統一地方選「後半戦」は26日投開票 町村議会選や東京区議会選
得票が3分の1に減った減税日本
13日に投開票のあった道府県議選や政令指定市の市議選。最も退潮ぶりを見せたのは名古屋市の河村たかし市長が率いる減税日本です。 市議報酬半減案などをめぐり河村市長が仕掛けた解散請求(リコール)を受け、2011年3月に実施された市議選で28議席を獲得、定数75の市議会で一気に第1党に躍り出た同党。しかし、直後から所属議員に政務活動費の不正受給などのスキャンダルが続出、政策や党運営をめぐっても河村市長に反発した議員が次々に離党し、議席は11にまで減ってしまいました。 今回は統一選に合わせた改選で新人を含む党公認の18人が出馬し、12人が当選。議席は改選前に比べたら1増という結果ですが、4年前に比べれば半分以下。得票数で見ると27万票近くをかき集めた前回に対し、8万3000票余りと3分の1にも達しませんでした。同時に行われた愛知県議選では、7議席あった議席をすべて失う結果に終わっています。 河村市長は翌日の会見で「前回、減税に入れてくれた多くの人が棄権に回ってしまった」と、過去最低の36.57%にまで落ち込んだ投票率も合わせて分析しましたが、減税日本に対する評価については「不祥事だけでこうはならない。何なのか。つらいですよ」と嘆いていました。
落選議員「地域政党に存在意義ない」
減税日本を離党し、無所属で市議選に鞍替え出馬した元県議は今回、わずか700票余りしか得票できずに落選しました。同じ選挙区で1万5000票以上を得てトップ当選した前回県議選と比べると、まさに天から地に落とされた経験です。 「地域政党とはいえ、党首である首長に無批判に従っていいのかと疑問を持って飛び出した。出馬表明が遅れたこともあったが、減税日本への批判票を取り込む手応えも街頭で感じられただけに、ここまでの惨敗は考えられなかった」と肩を落とすこの元県議。会社勤めや福祉団体の運営を経て50歳から4年間の議員生活を経験した上で、「地域政党に存在意義はない」「庶民では議員はできない」という結論に達したそうです。 「地域のことを考え、良くしようと動く地方議員に減税も自民も民主もないことがよく分かった。一方で道州制やダム問題などの大きな課題は、地域政党に財源がない以上、中央の国会議員に頼るしかない。しばらくは政治から離れて地域貢献をしながら、まじめな国会議員を応援していこうと思う」。元県議のあきらめに似た声からも、4年前に「リセット」されてしまった状況が感じられます。