永田町が警戒!岸田首相「根拠なき自信」で〝ヤケクソ人事と解散〟か 溝が深まる麻生氏と茂木氏 「国民は総裁選シフト見抜く」識者
4月の衆院3補選の全敗に加え、静岡知事選や、岸田首相の地元・広島県府中町長選、茂木敏充幹事長のお膝元・栃木県鹿沼市長選などで、自民党支援候補が次々と敗れている。
自民党ベテラン議員は「どう転んでも、わが党は選挙で『お灸』をすえられる。『下野のリスク』さえある情勢で、岸田首相による衆院解散は常識的にはあり得ない」と話す。
自民党中堅議員も「岸田政権は、レームダック(死に体)化が如実になっている」と語った。
これまで、主流派として政権を支えてきた麻生氏や茂木氏との溝も深まっている。
特に麻生氏は、岸田首相が根回しなく「派閥解消」を行ったことなどに不快感を募らせている。最近の講演では、他党に妥協を重ねた政治資金規正法改正案への姿勢も厳しく批判した。
岸田首相と麻生氏は18日夜、久しぶりに都内のホテルで会食したが、両氏の関係をどう見るか。
ジャーナリストの鈴木哲夫氏は「麻生氏は、自民党総裁選での岸田支持を約束し、『敗北確実の解散・総選挙をさせない』ことが大命題だった。内閣改造・党役員人事はその代替案だったが、いよいよ決別しかねないほど心証を悪くしている」と語る。
首相の権力の源泉は「解散権」と「人事権」である。解散が困難ならば、人事での起死回生はあり得るのか。
鈴木氏は「最大の焦点は、世論調査で人気のある石破茂元幹事長だ。幹事長などの要職を提示するだろうが、政権に距離を置き、総理総裁を目指す『ライバル』の石破氏が受けるかは疑問だ。麻生氏や茂木氏の処遇も難しい。河野太郎デジタル担当相や高市早苗経済安保相ら総裁選の有力候補はすでに閣内に置いており、重ねての人事は『囲い込み』や『封じ込め』が浮き彫りになる。国民は『国家運営』のための人事ではなく、永田町の論理に基づく『総裁選シフト』であると見抜くだろう」と語る。
岸田首相は「聞く力」をアピールするが、国民はおろか、党内の意見にも耳を傾けない面がある。手詰まり感が漂っているが、妙な自信も持っているという。
鈴木氏は「岸田首相は総裁選再選に自信があるようだ。頭の片隅に『電撃的な解散・総選挙』のオプションもあるのではないか」と語っている。