<ドラマフェスティバル>「コンテンツが溢れる時代だからこそ、アナログな体験コンテンツで作品の魅力を伝えたい」PRイベント担当者が語るコンテンツ
NHKが2024年秋に放送しているドラマ、土曜ドラマ「3000万」、夜ドラ「未来の私にブッかまされる!?」、ドラマ10「宙わたる教室」に連続テレビ小説「おむすび」を加えた4作品をより深く知ってもらおうというPRイベント「NHKドラマフェスティバル2024秋 in 東京/in 福岡」が11月2日(土)からスタート。本PRイベントの「目的、見どころ」を企画したNHKのコンテンツ制作局展開プロデューサーの郷原陽介氏に語ってもらった。 ドラマの収録現場で撮影されたVR映像は新感覚のドラマ体験を楽しめる ■あえての“アナログ”的なPRイベントで 作品も盛り上げたい 会場選定に込めた“思い” ――11月2日(土)から「NHKドラマフェスティバル2024秋」を東京と福岡で開催されますが、どういうきっかけでこのPRイベントを開催しようと思われたのでしょうか? まずテレビ全体で言いますと、昔に比べてコンテンツが溢れている状態だと思っています。テレビだけではなく、国内や海外の配信コンテンツもありますし、かなりの数になっています。その中でNHKの独自性をアピールするには、同じように放送だけをしていてもなかなか届けられないというか、そもそも「放送しているのを知らない」という人が多いことを肌感覚で感じました。そういうことで言うと、アナログな要素をあえてNHKがすることに意義があるんじゃないかと思って企画したものが、今回の「NHKドラマフェスティバル2024秋」です。 ――アナログ的な“PRイベント”をあえて開催するという発想で はい。実は、私はドラマの世界に来て1年ちょっとくらいなんです。全然ドラマの現場を知らない人間だからこそ、NHKのドラマで働いている人のプロ魂を素晴らしいなと感じました。担当者それぞれがプロ意識を持って働いているのですが完全分業制になっていて、それぞれのポジションの仕事がハードだからこそ、そこを俯瞰してみることのできる人が必要ではないかと感じたのです。 視聴者に番組という形で還元していますが、それ以外でもっと還元できることがあるのではないかと思いました。だからこそドラマ制作の現場で働いている人、デザイン、プロフェショナル集団の魅力を、視聴者に還元するにはどういうやり方がいいのかを考えた上で、視聴者に支えられているNHKだからこそアナログな形がいいのではないかと考えました。 ――今回、東京と福岡の2か所で開催されますが、これはどのようにして決まったことですか? NHKは全国にありますので、NHKの中の仕組みとして「『ドラマフェス』というものを開催します。一緒にやる局はありませんか?」という公募をかけます。今回は、連続テレビ小説「おむすび」の舞台地が九州ということもあり、NHK福岡局が「是非やりたい」と手を挙げてくれました。 あとは、より多くの方々に来場してもらうことでドラマを知らない人への認知を図る意味でも首都圏で開催したいと思っていましたので、東京での開催も決定しました。会場に東京タワーホールを選ばせていただいた理由としては、NHKが持っている施設での開催となると誰でも自由に、事前申し込み不要で、様々なコンテンツを楽しんでいただくのに適した空間の確保が難しい…ということもありましたが、せっかくなので、テレビと何かしら繋がりがある場所でやりたいという思いがありました。いろいろな施設を検討した中で、シンボリックな電波塔でもある“東京タワー”の東京タワーホールが、利便性にも優れ、様々なコンテンツを楽しんでいただくための広さも十分に取れるということで会場に決定しました。 ■“ここでしかできない経験”はドラマを知らなくても楽しめる ――どういうターゲット層の方に足を運んでもらいたいと思っていますか? NHK的な視点で言いますと、30代から50代の女性の方は一つのドラマをより深く見ていただいている世代ですので、その世代の方々を中心に来ていただきたいのですが、逆に、全くドラマに興味がない方や、ドラマを見ていない方にも来ていただきたいと個人的には思っています。今回のドラマフェスは、連続テレビ小説「おむすび」、土曜ドラマ「3000万」、夜ドラ「未来の私にブッかまされる!?」、ドラマ10「宙わたる教室」の4番組をより深く知ってもらおうという企画ですが、全くドラマのことを知らなくても楽しめるような企画をご用意しています。 ――その一部を用意していただいていますが、VRゴーグルを使ってドラマの撮影現場の見学体験ができたり、ARの技術でスマホを使って動いている登場人物が見られたり、それと一緒に記念撮影ができたり、いろんな企画がありますね。 はい。ARでドラマ出演者の方と一緒に撮影ができるとか、VRでドラマの撮影の裏側が見られるという企画は、そのドラマを見ていたらより楽しめますけど、そうじゃなくても十分楽しめるというのが今回のPRイベントのポイントの一つとなっています。もちろん、これをきっかけに「ドラマを見てみようかな」と思っていただけたら嬉しいです。 ――VRとARでの体験を、今、実際に試させていただきましたが、ドラマを収録している現場の様子がまさに手に取るようにわかりましたし、360度ぐるりと見渡すことができるというのも、実際のドラマ撮影見学でもできないことなので、貴重な体験になりました。 撮影セットの見学ということは可能だとしても、実際にドラマの出演者がいらっしゃる撮影の様子を見ていただく体験というのは、まず出来ないことだと思います。VR体験は「3000万」と「未来の私にブッかまされる!?」、そして「おむすび」の3つのドラマの現場で動画を撮影させてもらったのですが、その場でしか見られない映像に仕上がっています。役者の方のスイッチが入る瞬間が本当に目の前にいる距離感で見られたりするので、私も初めて見た時にすごく感動しました。他の共演者の方々と談笑していた安達祐実さんが、撮影が始まるとなった瞬間に切り替わる表情とか、これはなかなか見られるものではないと思います。そういう“普段は見ることのできない撮影現場の空気感”も楽しんでいただけるコンテンツを狙いました。 ■親近感を感じてほしい 中長期的な願いも込めたPRイベント企画 ――ドラマフェス全体の話に戻りますが、「ドラマフェス」は今回初の試みですか? 朝ドラや大河ドラマの展示のようなPRイベントは行っていますが、それ以外のドラマを集めたPRイベントということであれば3回目、「ドラマフェスティバル」という名前は今回が初めてです。 ――「2024秋」とタイトルについているということは、今後も継続して行っていくということですか? 理想としては季節ごとに開催できたらいいなと考えています。大河ドラマは1年間、朝ドラは半年間の放送ですけど、他のドラマは1クール(3ヶ月)のものが多いので、新しくドラマが始まるタイミングで開催できたらいいなと。「NHKドラマフェスティバル」の大きな特徴として「入場無料」で「事前申し込み不要」というのがあります。入場料が必要だったり、あらかじめ行く日や時間を決めるというのはハードルが高くなったりすると思うんです。ですから、一人でも多くの方に楽しんでいただけるようにそのように決めました。 ――VR、ARだけでなく、いろんな体験ができますし、ドラマ視聴者じゃなくても足を運んでみようかと思う企画ばかりだと感じました。 ARは「おむすび」の橋本環奈さんら4人のバナーがありまして、スマホをパネルのコードにかざすとその人物が動いて、自分もその隣に立って一緒に映ることもできます。「おむすび」のポスターで橋本さんがおむすびが乗ったお皿を持っているんですが、それよりも大きなおむすびを用意して、橋本さんになりきる体験もできます。 他のドラマも含めて、実際に使われた「本物」に触れていただける展示も用意しました。ドラマ撮影で使った本物の小道具の展示はガラスのケースに入れず、実際に触っていただけます。ガラスケース越しではなくて、直接触れる展示方法は結構レアなんじゃないかと思います。 他にも、会見で実際使った大きなパネルの展示もあります。「宙わたる教室」は窪田正孝さんをはじめとしたキャストの方のサイン、主題歌を歌うLittle Glee Monsterのみなさんのサインも入っている貴重なものなので、ぜひご覧いただきたいですね。ドラマのオリジナル缶バッジ制作体験もありますし、とにかく来場者の方に楽しい時間を過ごしていただきたい一心で色々と交渉や準備を重ねました。 コンテンツが溢れている時代だからこそ、その場でしか体験できないアナログ的な面白さや驚き、感動をお届けしてテレビ業界全体にも親近感を抱いてもらえたら嬉しいですね。