波乱に満ちた米大統領選、投開票日迎える-暗殺未遂や候補差し替え
(ブルームバーグ): 2024年米大統領選ではこれまでに、共和党候補のトランプ前大統領を狙った2件の暗殺未遂事件があり、バイデン大統領の選挙戦撤退を受けてハリス副大統領が急きょ民主党候補となった。
分断をあおるようなレトリックが使われ、米国の民主主義の将来について警告が発せられた。だが、これら一連の出来事は始まりに過ぎないかもしれない。
投票権を持つ2億4400万人の米国民にとって、選挙結果そして勝者がいつ判明するのかを巡る懸念が5日の投開票日に大きな影を落としている。
既に8100万人余りが期日前投票を済ませ、世論調査では近年まれに見る接戦の様相が示されている。選挙結果が法廷で争われるのはほぼ確実な情勢だ。
米国初の女性かつ黒人、アジア系大統領を目指すハリス氏は、トランプ氏を米国の民主主義への脅威と呼び、リプロダクティブ・ライツ(性と生殖に関する権利)の保護や、住宅費および医療コストの引き下げを公約する。
それでも、7月のバイデン氏撤退を受けた短期決戦のキャンペーンで、ハリス氏は自分を有権者にどうアピールするかで苦戦を強いられてきた。
一方、ホワイトハウス返り咲きを狙うトランプ氏は、経済運営では同氏の方をハリス氏よりも信頼するとする世論調査を追い風にしたい考えだ。トランプ氏は不法移民の取り締まり強化や大量の移民の強制送還、減税を約束している。
トランプ氏はまた、自分の政敵を「内なる敵」と表現。これは、ペンシルベニア州で行った7月の集会で、右耳の上部を銃弾が貫通する暗殺未遂事件に遭った後、脅威の感覚にあおられた暗いビジョンと言えそうだ。
トランプ氏は20年大統領選でバイデン氏が勝利したことを認めるのをまだ拒んでおり、投開票後の争いが長期化する可能性や勝者確定がいつになるのかについて、懸念が高まっている。
トランプ氏はさらに、開票作業さえ始まっていない段階で、民主党が不正を働いていると主張している。