「Ａぇ！ｇｒｏｕｐ」の正門良規（２７）の２週連続インタビュー後編。デビュー直前に起きた所属事務所やグループの変化に直面した本音や本心を吐露し、５人グループとしての「今」と「未来」を語った。 　　＊　＊　＊ 　２０１１年の入所から思い描いてきたデビュー。正門は「一言では言い表せない感情だった」と言った。 　「どこか夢見心地といいますか、あとは『これからや』という意気込みもあったりして」 　昨年は社名や環境が変わり、１２月３０日には、メンバーが１人減った。肩で、大きく息を吸った。「当然ね、全部なかった方が良かったとは思います」。さみしく、悲しそうな表情だったが、言葉は揺らいでいなかった。「あの時は６人で、グループの意識は固かったですね。自分たちではよく分かっていなくても、いろいろな場面で『Ａぇ！ｇｒｏｕｐの勢いを感じる』と言ってもらえることが増えていて。でも、自分たちはその正体があまり分かっていなくて。周囲にそう言ってもらえると、『デビューするには…』と考え始めて。それを形にするために、６人のギアが上がった。あとで思い返すと、少し焦りもあった気もして。勢いがあるうちにモノにしないと、次にいつ波が来るか分からない。当時は言語化できなかったけど、何か感じていたモヤモヤの正体はそれかなと思います」 　時折考え込むこともあったが、抽象的ではなく、自身の思いをハッキリとした言葉に込めた。 　「そうした中で会社のことがあって、もちろん、なかった方が良いに決まっていますけど、メンバー同士で腹を割って話して距離が近づくきっかけにはなったと思います」 　再び前を向いた中で、メンバーが１人脱退した。「正直、寝耳に水というか、今もよく分かっていなくて」。悲しさ、つらさ、苦しさ、やりきれなさ。さまざまな思いが詰まった言葉だった。「かみ砕くのに時間がかかったし、俺ら以上にファンの方が大変だったと思う。みんな、しんどかったと思う。でも、グループとして続けさせてもらえる。５人でも続けたい意思があったから」。そして、重ねた。「ここで終わらせたくない」 　言葉のテンポが、上がった。「一個一個でかすぎるハプニングがありましたけど、その度に意思確認と、意思疎通はできたかなって。そこで折れなかったのは、５人の強かったところ。メンバーが減ることは悲しかったけれど」。間が空いた。気持ちを封印するように「でも」と言った。「それと同じくらい、それ以上に、Ａぇ！ｇｒｏｕｐのエンターテインメントが好きだったから。まだ、もがける。ファンの方のメンタルには、俺らがアイドルとして誠心誠意向き合おうと。今の５人のＡぇ！ｇｒｏｕｐは、よく表現できているんじゃないかな」。はにかんだ笑顔を見せた。 　幾多の困難を乗り越えてのデビュー。５か月がたった。 　「１年目にスタートダッシュとしてツアーを決められたというのは、良かったんちゃうかな。地盤がつくれて、下半期は個人で、それぞれいろいろなことにチャレンジしていて」。４人の顔を思い浮かべるように、宙を向いた。「（末澤）誠也くんはミュージカルを頑張っていて、（草間）リチャくんは、お芝居もＤＡＳＨ（ザ！鉄腕！ＤＡＳＨ！）とかもやっていて。僕としても突き詰めたいものに触れさせてもらっていて。こじけん（小島健）は、本当にテレビに出まくっていて、グループの名前を売ってくれて。佐野（晶哉）ちゃんもドラマやら、たくさん出ていて。メンバーがそれぞれが違うものをできているというのは、すごくぜいたくなこと。次にグループで動く時が楽しみですね。直近でいうと、年末とかですかね。ワクワク、ソワソワっていう感じですね」 　取材の数日前には、関西発ユニット「ＫＡＭＩＧＡＴＡ　ＢＯＹＺ」としてヤンマースタジアム長居に立った。あの空間も「ワクワク」が詰まっていた。 　「ジュニアの時から先輩と一緒に大きなステージを経験させていただいて。ＷＥＳＴ．さんのドームライブや（ＳＵＰＥＲ）ＥＩＧＨＴさんのスタジアムとか。経験というプレゼントをたくさん頂いていて」。かみ締めるように丁寧に話した後、ニコッと笑った。「いつか自分たちの力で来ないといけないし、その時にはもっと大きくなって、後輩にもそういうことをしてあげたい。夢と使命感が両方ありますね」（田中　雄己） 　◆正門　良規（まさかど・よしのり）１９９６年１１月２８日、大阪府出身。２７歳。２０１１年に入所。１９年に「Ａぇ！ｇｒｏｕｐ」のメンバーに選出。２１年に舞台「染、色」で単独初主演を務める。２２年、大阪松竹座でソロコンサートを開催。今年５月にＣＤデビュー。血液型ＡＢ。