アパレル大手アーバンリサーチと組んで作製したオリジナルの作業着を着用する浅野建設の社員たち＝江津市内

　時間外労働の規制強化で人手不足が懸念される「２０２４年問題」などに直面する建設業界で、業界のイメージ刷新に取り組む中小企業がある。社員１７人の浅野建設（江津市都治町）は、東京からＵターンした若手後継者のもと、育児休業や介護休暇の制度などを整備。アパレル大手と組んでオリジナル作業着を開発するなど矢継ぎ早に経営改革に取り組み、新風を吹かせようとしている。 　同社では２３年４月、浅野貴裕取締役（４３）が事業を承継するためＵターンし、家業に就いた。業界の人手不足が深刻化する中、まず着手したのが働き方改革。就業規則を見直し、１００日以下だった年間休日を業界では異例の１２５日に増やし、完全週休２日制を実現した。育休や介護休暇の仕組みを整え、若手の採用を推進するため、勤怠管理システムで有給休暇の消化も徹底させた。 　一連の取り組みを通じて、島根県から２３年度、女性活躍応援企業、こっころカンパニー（しまね子育て応援企業）の認定を受けた。

　社員が現場で働く様子を見るうち、「大きな山を切り崩して道路をゼロから造る」建設事業の意義の大きさに思い至ったという浅野取締役は、現場で働く人のイメージを「クリエーターに変えたい」と考えたという。 　そこで社員が提案したユニフォームの刷新に着手。前職の繊維業界で築いた人脈を生かし、服飾大手・アーバンリサーチの経営陣に打診。生地の肌触りやストレッチ性、撥水性にこだわったカーキ色の作業着や白いポロシャツを制作した。建築施工管理技士の佐々木舞さん（３２）は「着心地がよく、社外に出た時の見られ方も変わったような気がする。仕事へのやる気が高まった」と語る。 　浅野取締役は「意識改革と共に団結力を上げ、将来的には技術力も高めて次の歴史をつくっていきたい」と力を込めた。