昼間の交通事故を防ぐ! 「デイライト」は日本で義務化されるか? そもそもなぜ基準が二つあるのか
日本におけるデイライト規制
デイライトとは、昼間に点灯させるクルマのライトことで「昼間走行灯」とも呼ばれている。 【画像】画面ちっさ! これが42年前の「カーナビ」です(計11枚) 道路運送車両の保安基準の第34条の3によれば、昼間走行灯は 「昼間に自動車の前方にある他の交通からの視認性を向上させる」 ものと定義されている。つまり周囲に自身の存在を伝えて、安全性を高めるための装備である。 欧州連合(EU)では2011年からデイライトが義務化されているが、日本では2016年10月におこなわれた保安基準の改正でデイライト専用の基準が設けられた。「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示 第202条の2」では、デイライトの光度が 「1440cd以下」 であることや、灯光の色が白色であることなどが細かく定められている。 実は、保安基準の改正が行われる前から、日本でも ・デイライトが装備された車両 ・後付けでデイライトを付けた車両 は存在していた。また、青色のデイライトがドレスアップとして流行したこともあった。しかし、基準が改定され白色のみに限定されたことにより、事情が変わってしまった。
デイライト基準の二重構造
実は、保安基準改正後も白色以外のデイライトは存在している。青色のデイライトも基準を満たしていれば、きちんと車検を通過することが可能なのだ。その理由として、デイライトには基準がふたつ存在していることが大きい。厳密にいうともう少し複雑な話なので、整理して説明していこう。 前述のとおり、デイライトは法改正により保安基準として基準が定められた。光度1440cd以下で白色といった基準だ。この法改正がなされる以前からもデイライトは存在していた。だが、2016年以前は“無法地帯”だったというわけではなく、保安基準の第42条において 「その他の灯火類」 として管理されていたのだ。道路運送車両の保安基準の細目を定める告示第218条では、その他の灯火類のライトの色は赤以外で、光度が300cd以下などの規定が定められている。つまり、デイライトとしては第202条の2で定め、その他の灯火類は第42条で管理するという体制になったのである。 デイライトとして認められるのは第202条の2の基準をクリアしたもののみだ。たとえデイライト的な目的で装備したとしても、第202条の2に当てはまらないのであれば、第42条の規定を満たさなければならない。その場合はデイライトではなく、その他の灯火類という扱いになるわけだ。一見 「ダブルスタンダード」 に見えるデイライトの基準だが、きちんと整備されているのである。