CFCL 高橋悠介の成長と挑戦 パリ公式ショーを機に次のステージへ
「CFCLニッティングラボ」開設
CFCLのさらなる成長に向けて、課題に掲げるのは生産面だ。その起点となりうる施設が、2月に東京都内で始動した。「CFCLニッティングラボ」という名の通り、実験的なサンプル制作や研究を行う場としている。2月某日に施設を取材した。 ニットのプログラミングとホールガーメント機を操るのは、ニットを扱って47年という熟練の職人。実際にサンプル制作を行なっている様子を見ると、機器の設定や糸の微調整など、人の手と技術が不可欠ということがわかる。ドレス1着の編み立ては約2時間(※デザインによっては10時間程度かかるものも)を要し、その後の糸の後処理やセット(編み地を安定させる工程)といった作業も手作業で行われていた。 こういったサンプル制作による取引工場の負担を軽減し、生産キャパシティの強化を図ることもラボの役割。生産を止めることなく、新たなアイデアや異なる糸を使った研究と開発によって、クリエイションの可能性を広げていく。 「スピード感を持って成長し続けるために、将来的に自社で工場を持つことも視野に入れる必要がある。例えば少量のオーダーにも対応することができれば、新しいファッションの形が示せるのではないかと考えています」(高橋)
売上は過去2年で8倍に
直営店については、2022年秋から出店を開始し、東京・神宮前「GYRE」3階の「CFCL OMOTESANDO」を皮切りに、「東京ミッドタウン八重洲」1階の「CFCL YAESU」、「東京ミッドタウン」ガレリア2階の期間限定店舗「CFCL ROPPONGI」、そして大阪の「阪急メンズ大阪」5階の「CFCL HANKYU MEN'S OSAKA」の4店舗と公式オンラインストアの体制。今後の計画として、来年4店舗の直営店出店を予定しており、採用も強化していく。 卸の取引先としては国内が約50社、海外が約50社。昨年度の直営店を含めた20億円超(小売価格ベース)の売上高は、過去2年でおよそ8倍となった。海外の売上の割合は卸取引の50%超となり、特に欧州とアジアが伸びているという。 パリでCFCLのショーが行われた翌々日、東京では伊勢丹新宿店本館1階「ザ・ステージ」で初の大型ポップアップを開催。3月13日からは同店のメンズ館6階に会場を移し、ユニセックスアイテムを展開している。 今後は日本国内だけではなく海外でも大型ポップアップを開催していきたい考で、今年4月には韓国で大型ポップアップが予定されている。パリ・ファッションウィークの公式スケジュール入りを機に、国内外の展開を加速させ、グローバルブランドとしての確立を目指していく。 「CFCLを立ち上げてから、ファッションが与える影響、動かしていく力を目の当たりにしてきました。世界を意識すると、ものに対する付加価値や、より一層クリエイションに力を入れる必要性を感じています。熱意のある人たちと手を組んで、新しいことにチャレンジし続けていきたい」(高橋)