選挙中に153億円献金、実業家イーロン・マスク氏が手にする「トランプ2.0」の果実
米大統領選で、実業家イーロン・マスク氏が支持した共和党候補のトランプ前大統領が決定的な勝利を収めて返り咲きを果たした。これによってマスク氏は、自身が率いる企業が次期政権からさまざまな恩恵を享受できるよう絶大な影響力を振るうことができる立場を得たと言える。 米大統領選の期間中、彼らの関係が花開くのを世界は目撃した――公に支持を表明しただけでなく、SNSでのやり取り、そして100万ドルのプレゼントまで。 そして世界一の富豪イーロン・マスク氏は今、次期大統領となったトランプ氏とのつながりから大きな利益を得る立場に立った。 連邦政府の情報開示により、マスク氏がトランプ陣営の団体に少なくとも1億ドル(約153億円)の献金を行ったことが明らかになった。 <増大するマスク氏の影響力> トランプ氏は6日の勝利演説でもマスク氏を称賛した。「私たちには新しいスターがいる。スターが誕生した。それはイーロンだ。彼は個性的な人物だ。特別な人物だ。超天才だ。われわれは天才を守らなければならない。天才はそう多くいるわけではない」 トランプ氏は、連邦政府の支出を削減するための新たな組織のトップにマスク氏を起用すると表明した。電気自動車(EV)大手テスラのCEOでもあるマスク氏は、6兆7500億ドルの連邦予算から少なくとも2兆ドルを削減できる可能性があると述べた。 それがどのように機能するかが、2期目のトランプ政権にとってカギとなる可能性がある。 <「効率化」とは規制緩和を意味するのか> マスク氏は、スペースXのロケット事業に対する連邦政府の審査を声高に批判してきた。 マスク氏の影響力拡大によって宇宙探査だけでなく、マスク氏が大きな利害関係を持つEVなど他の新技術に対する連邦政府の監督が弱まる可能性がある。マスク氏はまた、自律運転技術を巡る承認を早めることも望んでいる。 <トランプ氏と意見が一致しない分野も> しかし、トランプ氏とマスク氏は完全に一致しているわけではない。トランプ氏は、10年以内に州内のすべての車両をEVにすることを義務付けるカリフォルニア州の方針を認めないと述べた。一方マスク氏は、炭素排出ゼロのエネルギーを強く推進しており、テスラは太陽光発電システムとバッテリーの主要供給者だ。 トランプ氏は洋上風力発電産業を排除し、マスク氏も恩恵を受けるバイデン政権の政策であるインフレ抑制法に基づく未使用の資金をすべて取り消す方針を示した。共和党が多数派を占める州では、この法律から大きな利益を得ている。マスク氏は、テキサス州に国内2カ所目のEV工場を建設中だ。