被災地から来た猫3匹 里親探しに奮闘する高校生たち 一匹一匹が大切な命 広島
広島ニュースTSS
高校生たちが企画した保護動物の譲渡会に、被災地から来た猫たちが参加しました。 被災した動物たちの現実をどう伝えればいいのか?彼女たちの取り組みを取材しました。 先週、広島市内の高校で行われた保護動物の譲渡会。 主催したのは、広島市南区にある進徳女子高校の動物愛護サークルです。多くの動物が保護され、動物愛護センターやボランティアの手で育てられている一方、増加する保護動物を育てていくには、限界もあり、里親を探す譲渡会は重要なイベントとなっています。 (来場者の親子) 「飼いたい。だけどパパは無理。パパは無理と言っています」 「犬がいるからね」 「いいじゃん、少しくらい」 今回の譲渡会には、特別な猫たちが参加しています。 今年の元日に発生した能登半島地震。 被災地には多くの動物たちが取り残されました。 その被災地で保護された猫たちです。 5月の初旬、広島のボランティアグループが石川県の動物愛護センターの要請を受け、被災地から猫3匹を連れて帰りました。 (ワンミャツダクラブ・荷堂美紀代表) Q:人に慣れていますか? 「全く慣れていないです。特定の飼い主が家で飼っていたような猫は里親が決まりやすいが、そうでない猫は難しい」 災害で動物たちはどうなっていたのか?被災地は今、どうなっているのか?被災地の猫を受け入れる準備は、現地の状況を聞くことから始まりました。 (学生とのやり取り) 「今回(災害が)起きたところでは、犬猫が一緒に行けるところは多かったのか少なかったのかが気になります」 「発生したすぐあとは(ペットと避難する場所が)1カ所しか無かったという話を聞きました。それくらい発生したすぐあとは混乱状態で、ここはペットを連れて行っていいという定義もできなくて」 災害が発生すれば、人と動物に何が起こってしまうのか?荷堂さんの話から少しずつ、分かってくることがありました。 (進徳女子高校3年生・河井実咲さん) 「現地の動物たちがどうなっていたのかなということが気になっていたので、知ることができてよかった」 譲渡会を開催する2日前。準備は放課後に始まりました。 作業はメンバー全員で行います。 譲渡会では、これまで学んだペット防災の発表展示も行ないます。 エントリーした犬や猫の特徴から性格まで書いた、それぞれのプロフィールも用意しました。 (進徳女子高校2年生・梶谷優衣さん) 「部員それぞれに割り振ってそれぞれがデザインして作った」 Q:プロフィールを? 「そうです」 彼女たちにとって、一匹、一匹が大切な命です。 被災地から来た猫たちはどうするんでしょうか? (進徳女子高校3年生・吉本こころさん) 「あそこの壁に飾ろうと思っているのですが、どんな感じになるか分からない。まだできてないんです。厳しいですね」 Q:まだ考え中? 「どうすれば伝わるかな、みたいな感じがあるので」 譲渡会当日。被災地から来た猫たちの専用のブースをつくりました。 (進徳女子高校3年生・河井実咲さん) 「この子たちが「どんな子なのか」とか「どういう経緯でここに来たのか」を伝えていけたらいい」 これまで「調べたこと」、「感じたこと」を自分たちの言葉で話します。 猫たちに関心を示してくれる人も多くいます。 (進徳女子高校2年生・山田桃花さん) Q:みんな話を聞いてくれる? 「聞いてくれます。ちゃんと向き合ってくれて、話をするときも、うなずいり相づちを打ってくれたり、(譲渡を)検討しようかなという人もいるので」 しかし、この日、里親が決まることはありませんでした。 (進徳女子高校3年生・吉本こころさん) 「今回決まらなかったのでやめようかなではなくて、決まらなかったら次に何かを工夫して次またやろうみたいな。続けるのが1番だと思う」 犬や猫に興味を持ってくれる人は多くいますが、実際に飼うというところまではなかなかいきません。 (進徳女子高校3年生・吉本こころさん) 「譲渡が猫で3匹、犬はゼロだったので」 終了後のミーティング。 参加してくれた保護ボランティアさんにも申し訳ない気持ちで一杯になります。 その時、ボランティアの一人が手を上げました。 (参加した保護主ボランティア) 「トライアルの数にこだわっていると思いますが、私たちはそうではなくて(譲渡会を)継続してもらって、そこから(里親が)1匹でも見つかればOKなのです。なので継続して頑張って協力してもらえることに価値を見出していますので、今後ともよろしくお願いします」 保護される動物たちは今も増え続けています。 災害が発生すれば、人と動物に何が起こるのか。自分たちには何ができるのか。 様々な問いの答えを探しながら、彼女たちは活動を続けています。
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