93歳野村万作さん、58歳萬斎さん、25歳裕基さん 親子3世代が共演 狂言青森特別公演
狂言の人間国宝・野村万作さんと長男の萬斎さん、孫の裕基さんの親子3世代による「狂言青森特別公演」(東奥日報社・東奥日報文化財団主催、青森市文化観光振興財団共催)が12日、青森市のリンクステーションホール青森で開かれた。会場に詰めかけた約千人が、室町時代から約600年続く日本の伝統芸能の世界に浸った。 万作さんの文化勲章受章を記念した今回の青森公演では、演目に先立ち萬斎さんが見どころや狂言の魅力をユーモアたっぷりに解説。「狂言は地域や時代を超え、人間の根源的な欲求を笑い飛ばし発散する舞台。観客の皆さんも一緒に参加し、楽しんで」と呼びかけた。 93歳、58歳、25歳の3世代共演となった「木六駄(きろくだ)」では、都へ届けるよう命じられた酒を途中で飲み尽くしてしまう太郎冠者を、万作さんが円熟の所作や舞で表現。大雪の中、12頭の牛を追って歩く主人公のユーモラスな動きや、裕基さん演じる主人、萬斎さん演じる峠の茶屋らとの愉快な掛け合いで観客を魅了した。「千切木(ちぎりき)」では、萬斎さんと裕基さんが夫婦役を演じ、仲間はずれの仕返しに向かう気弱な夫と、叱咤(しった)激励する妻との軽妙なやりとりが会場の笑いを誘った。 公演には県内の児童・生徒が無料招待され、本格的な古典芸能を生で鑑賞。青森明の星中学校2年の青木董子(とうこ)さんは「狂言の鑑賞は初めてで、しきたりや言葉が難解かと思っていたが、とても面白い場面が多く楽しめた」と感想を話していた。