宇奈月温泉 お湯の色に変化も“つべつべ”招く成分増えたか ピンチをチャンスに
KNB北日本放送
1月1日の能登半島地震のあと、黒部市の宇奈月温泉で温泉の成分が変化したことが分かりました。 湯舟が赤茶色に染まるなどして当初は困惑が広がりましたが、旅館関係者は、この変化を逆手にとって温泉地の活性化につなげようとしています。 小丸記者のリポートです。 県内最大の温泉地、宇奈月温泉。 そのお湯は無色透明で肌に優しいのが特徴で、”美肌の湯”として親しまれてきました。 しかし、県内で最大震度5強を観測した1月1日の能登半島地震の後、温泉街ではお湯の異変が見つかり大騒ぎに。 黒部観光開発 百石富士雄社長 「あるホテルの社長さんから『おい色変わっとるぞ』と言われて、その翌日にまた、各ホテルから電話あって『おかしいわ』ということで行って浴槽見たら、色変わっていて『どうなったんか』という感じ」 宇奈月温泉の源泉を管理している黒部観光開発の百石所長です。 2024年1月中旬、温泉街の宿泊施設などからお風呂の浴槽やタイルが赤茶色に染まったとの声が相次ぎ、対応に追われたといいます。 宇奈月温泉のお湯は、7キロ上流から引湯管で運んでいますが、管は樹脂製のため錆びがでることは考えられないといいます。 また、お湯の量と温度は変わらず色も無色透明のままで、温泉噴水の水槽には変色がみられませんでした。 百石所長 「不安ですよね、謎だったんで、なんか見えないものを探しているようなもので。こうやって温泉がもとから流れているのに色変わってくれれば納得できるんですけど、無色透明のままだったので」 県衛生研究所に温泉成分を調べてもらうと、温泉水1キロあたりのマンガンイオンの含有量が10年前の75倍になっていたことが分かりました。 これが、大浴場の消毒に使う塩素と化学反応を起こしタイルなどが茶色く色付いたとみられます。 「変色は本当に悩みました」 温泉街にあるホテル黒部です。 こちらの大浴場でも地震のあと、浴槽やタイルが赤茶色になりました。 この日もスタッフが清掃に追われていました。 清掃スタッフ 「石にしみこんでいる状態で、なかなかどれだけこすってもまあ少しずつは落ちているんでしょうけど、まだまだ完全にきれいになる状態にはなっていません」 ホテルは、地震の後、およそ800人分の予約がキャンセルとなるなど経営に大きな影響を受けました。 そうした中、お湯の異変をチャンスと捉えていました。温泉水の成分に別の変化もあったためです。 ホテル黒部女将 中島ルミ子さん 「うれしい、と思いました」 保湿効果があるため化粧水にも使われている「メタケイ酸」とよばれる成分の数値が、10年前の調査より4倍以上に増えていたのです。 中島さん 「ただでさえ最初から美肌の湯というように、宇奈月温泉ずっと言っていただいていたのに、より一層美肌効果が4倍に上がるといっただけでも、なんていいことになったんだろうと思って、地震でみんなも落ち込んでいるし、もちろん私自身も落ち込んでいる中で、すごく明るい気持ちにさせていただきました」 以前のお湯を知る人は変化が分かると話します。 「つやつや、すべすべだね、やっぱ、しっとりする気がしました。いつもさっぱりするけど、やっぱしっとりしてるよね。やっぱすべすべ肌綺麗になりますし、あがったあと乾燥しないし、また是非来たいと思います」 中島さん 「宇奈月温泉にお越しの方々は、この大自然とかトロッコが目的の方もおられますが、やはり温泉を楽しみにしていただける方もたくさんおられるので、そういう意味で、私たちはこれからもっともっと、PRをしていかなければいけないなと、思っています」 能登半島地震による落石の影響で、トロッコ電車の全線開通が延期となるなど、苦境にある宇奈月温泉。お湯の異変をチャンスに変え温泉街の活性化に取り組んでいます。 このところ、浴場のタイルなどの新たな変色は落ち着いてきたということで、温泉を管理する黒部観光開発は、10月にも宇奈月温泉の成分を調べるということです。