『虎に翼』花岡の行動に集まった賛否の声 『舞いあがれ!』目黒蓮と重なる岩田剛典の立場
NHK連続テレビ小説『虎に翼』第7週「女の心は猫の目?」が放送された。雲野(塚地武雅)の事務所で司法修習中の寅子(伊藤沙莉)は、あわただしい日々を送っていた。そんな折に、修習生を終えた花岡(岩田剛典)が晴れて裁判官試験に合格。度々、公園で昼食を共にしながら励まし合っていた2人の関係は順風満帆かのように思えたのだが……。 【写真】婚約者を連れて現れた花岡(岩田剛典) 花岡は、合格祝いを開こうとする寅子を、“なるべく早く”と急かし、それも2人きりで行きたいという。ここで寅子との距離が縮まる事態が起こると想像したのは花岡だけでなく視聴者も同じ。それにもかかわらず花岡は何か決定的なことを言うこともなく去ることに。きっとそれは、寅子の頭の中が弁護士になることでいっぱいだと分かってしまったからだろう。だがその後、花岡は見たこともない婚約者を連れて寅子らとばったり遭遇することになる。この花岡の行動には、多くの視聴者が賛否両論様々な感情を持ったようだ。 花岡の一連の行動に誠意のなさを感じたよね(土居志央梨)と轟(戸塚純貴)は、憤りを抑えられずに激しく抗議する。だが花岡には花岡の考えがあり、そこには寅子を最大限思いやる気持ちがあった。花岡が、「やっとつかんだ弁護士の道を諦めて、嫁に来てほしいと言えと?」と轟に抗議したように、寅子にとって花岡と結婚することは夢を諦めることだったかもしれないのだ。 加えて花岡は婚約者の奈津子(古畑奈和)なら、佐賀に着いてきてもらうことも、父の面倒を見てもらうことも頼めると言う。女性が背負わされる犠牲に苦しさを感じるものの、こうした理不尽を前になすすべなく寅子を諦めた花岡の痛みも理解できる。思えば寅子との食事の後に振り返ることなく手を振ったのは、寅子の活躍を心から応援するために強い意志で身を引こうとしたことの象徴なのではとさえ感じた。
『舞いあがれ!』の目黒蓮と岩田剛典の“立場”が「似ている」の声も
ヒロインのキャリアのために別れを選んだ男性は『舞いあがれ!』にも登場した。主人公・舞(福原遥)の恋人であった柏木(目黒蓮)は、舞がハカタエアラインの内定を辞退し家業を継ぐ決心をしたのをきっかけに別れてしまう。SNSでは、当時の柏木と花岡を重ね合わせ、「どこか似ている」の声も多数。強い気持ちがあれば別な夢を追いながらも家庭は築けるという考えもあるだろうが、それは必ずしも全員に通用するわけではない。それぞれの家族の状況や、夢の過酷さ、金銭的な問題などもあり、やむなく別れを選ぶカップルも多いのではないか。 今回の花岡の行動については、SNSなどで「花岡の優しさゆえの行動」「寅子を思うからこそ身を引いた」などの声もあれば、「寅子とはきちんと話し合ってほしかった」「伝え方が悪かった」という声も挙がる。寅子と花岡のどちらの立場に立つかで感じ方も大きく変わってくるだろう。だがこの難しい問いに向き合い続け、それぞれが“意見“を持つことで、こうした悲しい別れの数は確実に減っていくのではないか。 花岡の決断や態度への切なさは残るものの、花岡という男がまっすぐ寅子を見つめ続けてきた時間は嘘ではなかったように思う。紆余曲折あったが、寅子はもう次のステップに進むことができた。花岡も、言葉どおり奈津子を大切に愛していくのだろう。2人の思いが交差する日はもう来ないのかも知れないが、そんな切なさに主題歌「さよーならまたいつか!」の歌詞〈さよなら100年先でまた会いましょう 心配しないで〉がそっと響く。
Nana Numoto