金本阪神困った! 投手コーチがいない?
阪神が来季の1軍投手コーチとしての招聘を検討していた広島OBの大野豊氏(60)に調査段階で入閣を断られ、重要な投手コーチのポジションが宙に浮いていることが22日までに明らかになった。 球団サイドは、金本知憲新監督(47)の就任に伴い、来季の1、2軍のコーチングスタッフについて新監督の意向に沿って急ピッチで組閣を進めてきた。中西清起投手コーチ(53)と山口高志投手コーチ(65)は退任、金本体制では、新たな投手コーチでスタートする方針が確認されていた。そこでリストアップされたのが、広島で先発、抑えで活躍、コーチ経験も豊かな大野氏だった。 昨秋のキャンプでは、阪神の臨時コーチを依頼。若手左腕へのわかりやすい指導が好評で、金本自身も、広島時代から旧知の仲で、その理論や指導スタイルに信頼を寄せていたため、満を持して水面下で1軍投手コーチ要請を探っていたが、色良い返事をもらえなかった。続いて球団サイドは広島、巨人OBで巨人の投手コーチを務めた川口和久氏(56)もリストアップしたが、金本新監督の求めている投手コーチ像とは重ならず、また白紙に戻った。 今季のチーム防御率、3.47は、横浜DeNAに次ぐワースト2位。先発では藤浪が14勝7敗で1本立ちしたが、メッセンジャーが9勝12敗、岩田が8勝10敗、能見が11勝13敗と負けが先行、後半ローテーションを守った2年目の岩崎も3勝10敗でトータルの数字は残せず、第5の先発も固定することができなかった。来季は、その先発の立て直しが、チームの課題のひとつだが、さらに急務なのは、救援防御率が4.11と不安定だった中継ぎの整備。安藤、福原のベテラン2人に、いつまでも依存するわけにもいかず、まだ来季の契約が確定していないオ・スンファンの動向次第では、新たな抑え候補も探さねばならない。 それらをまとめる投手コーチに課せられる役割は重要で、しかも、金本新監督が野手出身なだけに、なおさらしっかりとした理論を持ち、修羅場をくぐった経験豊かな指導者が新チームに求められているが、“本命”だった大野氏に断られたことで、その大事なポジションが、今だに未定のまま宙に浮いてしまった。 球団サイドは、再度、金本新監督の意向を最優先に汲みとりながら、投手コーチを誰にするかのプランを煮詰めているが、時間的な制限もあって、1軍での投手コーチ経験を持っている現在2軍の久保康生投手コーチ(57)、巨人、近鉄では、1軍でのコーチ経験のある香田勲男・2軍投手コーチ(50)の1軍昇格案を含めて検討されている。 ただ投手コーチを除くと、ほぼ金本新体制のスタッフ全容は固まった。 ヘッドコーチに高代延博氏(61)、バッテリーコーチに矢野燿大氏(46)、打撃コーチに片岡篤史氏(46)、打撃部門のサポートとして、浜中治氏(37)が2軍から昇格、同じく打撃コーチ補佐としてトーマス・オマリー氏(54)、チーフ兼守備走塁コーチに平田勝男氏(56)、内野守備走塁コーチに久慈照嘉氏(46)が復帰、外野守備走塁コーチに中村豊氏(42)が2軍から昇格する。 また2軍は監督に掛布雅之氏(60)が28年ぶりに現場復帰し、今岡誠氏(41)が打撃、守備も含めた総合コーチとしてユニホームを着る方向だ。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)