<中国からの揺さぶりに耐えられるか>就任早々内政問題に直面する頼総統が守りたい「台湾アイデンティティー」
2024年5月21日付のTaipei Times社説が、頼清徳総統は就任早々内外の厳しい課題に直面しているが、就任演説を見る限り、同氏の落ち着いた存在感に期待してよさそうだ、と述べている。 5月20日、頼清徳総統と蕭美琴副総統が正式に就任した。1996年に総統の直接選挙が始まって以来、一つの政党が三期連続で政権を担当するのは初めてのことである。立法院で過半数を占める政党がないのも16年ぶりのことだ。 頼新総統の演説は、両岸の平和と政党間の協力を強調するものだった。 演説の最初の項目は、野党に対する、与党議員および行政府との協力の訴えだった。頼総統は、今の政治状況は「理性的な統治に高い期待を持つ」台湾人の選択である、と強調した。 物議を醸す改革法案をめぐって立法院が混乱したわずか数日後だっただけに、頼氏の発言は鋭く、緊急性を帯びていた。ただ、彼らが耳を貸すかは分からない。 もう一つ注視されているのは両岸問題だ。頼総統は、平和への期待を示し、平和の語を23回用い、「台湾は他の国々と同様、戦後復興の困難な道のりを歩んで今日に至っている。これらの成果が戦争で破壊されることを誰も望んでいない」と述べた。 これは、頼氏が総統になれば不安定化要因になると恐れる批判者たちへの反応だ。彼は中国に「対立ではなく対話を選ぶ」よう求め、両政府は両岸観光と台湾の教育機関への中国人留学生の入学を再開することから始めることができる、と述べた。
国内問題については、台湾の半導体分野における優位性と、社会のあらゆる面に人工知能を取り入れるという政権の目標を強調した。彼はまた、「希望の国家プロジェクト」を通して、住宅から交通の安全まで幅広い問題に取り組むことを約束した。 就任したばかりだが、頼総統は既に議会の分裂や国際的な厳しい監視に直面している。しかし、就任演説を見る限り、台湾は、頼氏の総統府での落ち着いた存在感に期待してよさそうだ。 * * *