王座防衛に成功し、笑顔で引き揚げる中谷潤人

　ボクシングの7大世界戦の第2日が14日、東京・有明アリーナであり、WBCバンタム級王者の中谷潤人（26）＝M・T＝が同級1位のペッチ・ソー・チットパッタナ（30）＝タイ＝に6回TKO勝ちして2度目の防衛に成功した。 ◆立華理莉＆霧島聖子、ラウンドガールを務める【写真】 　あまりにも強かった。中谷が痛烈な左を突き刺し、追撃の右もクリーンヒットすると、77戦（76勝53KO1敗）で一度もダウンしたことのなかった挑戦者がたまらずマットにはう。再開後、ふたたび左がさく裂すると、ペッチは丸太のように倒れダメージを察したレフェリーがノーカウントで試合を止めた。6回2分59秒TKO。バンタム級最強王者は、圧倒的な強さで同級2度目の防衛を果たした。 　「まずほっとしているのと、ノックアウト負けのない選手に対してしっかり倒して勝ったことは良かったと思います。最初の入りはディフェンシブに、距離を確認しながら戦って、見極めて組み立てていけました」 　データ上は不安要素が多いはずの試合だった。約5年5カ月ぶりのサウスポーとの対戦。自らとほとんど変わらない身長169センチで体格の有利がない長身挑戦者。だが、試合は一方的だった。序盤ジャブを軸に距離を支配。4回からは接近戦の右アッパーで削り、最後は得意の左長距離砲だ。「踏み込んでかぶせていくパンチ。この試合のために練習していました」と、目を細めた中谷には底知れなさが漂った。 　来年には、さらに大きな展開が待つ。長く希望する他団体王者との統一戦。さらには第2の故郷・米国での試合だ。 　今夏に米プロモート大手トップランクと契約。この試合はリングサイドから同社トッド・デュボフ社長が見守った。「中谷はすばらしい。ロサンゼルスで練習し米国での試合にも前向きなこともよく知っている。今後の展開次第だが、来年のどこかで米国で試合ができれば」とデュボフ社長はプランを描いた。 　中学卒業後に単身渡って拳を磨いた米国で、親友のWBOフライ級王者オラスクアガ（米国、帝拳）らとともに世界タイトル戦をするのは当時からの夢のひとつ。パウンド・フォー・パウンド（全階級最強ランキング）に入り世界的な注目も集める今となっては、メインイベント起用も見えてくる。バンタム級で世界戦3戦すべてKO勝利とした王者の未来はさらに大きく広がっている。