舞台『TRAIN TRAIN TRAIN』キックオフトークショー開催 森山開次「身体を動かして共有しながらこの列車を走らせていきたい」
舞台『TRAIN TRAIN TRAIN』のキックオフトークショーが、11月16日に東京・アーバンドック ららぽーと豊洲 みるステージで開催された。 【全ての写真】舞台『TRAIN TRAIN TRAIN』キックオフトークショーより(全14枚) 『TRAIN TRAIN TRAIN』は、2025年11月のデフリンピックの開催に合わせて、東京2020パラリンピック開会式のキャスト・スタッフが集い、新たな仲間を加えて創作する舞台作品。東京都が世界陸上とデフリンピックが開催される2025年に向けて実施する3つのアートプロジェクト「TOKYO FORWARD 2025 文化プログラム」のひとつで、「Train」をモチーフに、車いすの少女が不思議なSLと旅をする冒険譚を身体表現、音楽、言葉を用いて描く新作ダンス公演だ。森山開次が演出・振付を務めるほか、「TOKYO2020パラリンピック開会式」に登場した和合由依が出演。また、出演者オーディションも開催、応募締切は12月9日(月) までとなっている。 トークショーには森山に加え、はるな愛、ウォーリー木下、栗栖良依が登壇。東京2020パラリンピック開会式を振り返りながら、2025年に受け継がれるレガシーと、新創作のためのオーディションや作品への期待について語られた。 東京2020大会パラリンピック開会式でのオーディションについて、ウォーリーは「マイノリティの人たちが社会とアクセスする方法を増やしていくこと、それができるのがまさにアートであるということ。栗栖さんはその信念でオーディションを行うことを提案してくれましたよね」と語ると、栗栖は「5,000人を超える応募があり、一人ひとりの志望動機がとても熱くて全員出したかった。選ばれなかった人も今後も諦めずに挑戦してほしいし、表現活動をしてほしいと思ったことが記憶に残っています」とコメントした。 森山は「コロナ禍だったのでオンラインでのオーディションで、みんな画面越しから熱い思いをたくさん見せてくれました。(今回メインキャストの一人の)和合由依ちゃんのことはよく覚えていて。中学生になったばかりでしたがとてもしっかりしていて、僕のほうがたじたじしてしまうほど。歌やユーフォニアムの演奏を披露したり、運動会の映像を見せてくれて。車いすに乗りながら誰よりも目立っていて、すごい才能を見つけてしまった!という興奮の気持ちでした」と当時を振り返った。 はるなは「私は表現者として関わりたいと思って、聖火ランナーも応募したけど当たらなくて。何かないかなと思ったときにパラ開会式の出演者応募を見つけたんですよ。弟も車いすなので、自分が関わることで何かメッセージが伝えられたらと思って」と応募の動機を明かした。 『TRAIN TRAIN TRAIN』の創作のきっかけについて、森山が「パラ開会式直後に、ウォーリーさんや栗栖さんと、このまま終わらせてはいけないと思い、次にできることは何か?と話し合いました。飛行機の後は電車だ!とすぐにSLの絵を描き始めて、みんなで舞台の実現を目指していました。絆を次に繋げたいという思いがありましたが、数年経ってこの企画が実を結び繋がったことが本当にうれしくて」と語ると、ウォーリーは「開次さんは絵に物語を載せてパラ開会式の時の感情をきちんと分析していて、なんて素敵な絵なんだろうと僕はめちゃくちゃ感動しました」とコメント。 はるなは「パラ開会式の時(デフパフォーマーと共演して)障がいに関係なく色んなことが言い合える環境がそこにあって、それが心地よくて。音楽が聞こえない人と一緒に合図を決めたり。その感じがもっと社会に広がったらいいなって、毎日練習に行くのが楽しくて、いろんな発見がいっぱいあったんです。開会式は色んな個性が光るショーだったと思っているんですが、来年それがまた味わえるんだと思うと、すごく楽しみです」と語った。 『TRAIN TRAIN TRAIN』への意気込みについて、森山は「クリエイションは山あり谷ありになるでしょうけど、個性をぶつけ合って、喧嘩しながら、意見を交わし合いながら作品を創っていきたいと思っていて。僕自身、自分の全霊をかけて挑みたいと思っています」、栗栖は「ユーフォニアムの汽笛がモチーフになっていて、この汽笛というか蒸気、気、エネルギーみたいなものが結構重要なキーワードになっていると思うんです」とコメントした。 続いて、「物事を動かすとき、さまざまなエネルギーがあるけれど、僕たちを動かすのは情熱だったり気持ちだったりするのでその気持ちをしっかりエンジンにくべて走っていきたいです。この作品では、身体から音楽が聞こえたり言葉が聞こえてくるような、それぞれの汽笛が聞こえるように演出したいと思います」(森山)、「聞こえる人も聞こえない人も共有できる響きみたいなものは必ずあると思っていて、それが生の劇場の舞台でやることの良さ。東京芸術劇場プレイハウスは、比較的距離の近い会場なので、国立競技場で無観客というパラ開会式とは違う世界が見えると思います」(栗栖)とそれぞれ見どころを明かした。 ウォーリーは「汽笛の色々なパターンは僕には息に見えたんです、吐く息に見えて。パラ開会式でさまざまな個性がある中で一致団結できた理由は息を合わせること。息を合わせることは障がい関係なくできるんですよ。ぜひ劇場であの感動をみんなで創ってもらえたら。バラバラな人たちがひとつの空気を創って、お客さんも実はそこに参加しちゃっているっていう体験はなかなかできないからワクワクしています」とアピールした。 森山は「みんなの思いを、そして僕も思いのすべてをぶつけられる空間を全力で牽引していきたいし、そういう場が作れたらいいですね。自分が全部引っ張る必要もないと思うんです。みんなの力を借りながらそれぞれが発揮できる場づくりをして。今回は僕もちょっと踊りたいなと思っています。身体を動かして共有しながらこの列車を走らせていきたいと思っています。みなさんにご注目いただいてそれぞれの形で『TRAIN TRAIN TRAIN』を応援して見守って頂ければうれしく思います」、栗栖は「2020東京大会のレガシーをデフリンピック、そしてトレインに繋げて、さらにそれぞれ街の中に、東京中、またはそこから全世界へと広げていくというのが私たちの願いだと思うので、ぜひみなさん列車に乗った一員のつもりで一年間見守ってください」とそれぞれ呼びかけた。 なお当日出演予定だった和合は体調不良のため欠席。当日は和合からのメッセージが読み上げられた。