「単なる計算ツールから脳トレへ」 進化し続けるそろばんの存在価値
KTNが開局した1969年=昭和44年から撮影してきた映像とともに、長崎の歴史を振り返る「タイムトラベル長崎」。今も昔も習い事として根強い人気がある「そろばん」に注目すると、時代のニーズに合わせて変化するそろばんの「価値」があった。 【画像を見る】「孫の手」ならぬ「そろばんの手」!?
「そろばんの黄金時代」を彩った1980年代
KTNは、今から48年前の1978年1月2日に長崎女子商業高校で行われていた「新春そろばんはじき初め大会」を取材していた。大会は毎年1月2日に行われていて、艶やかな晴れ着姿で珠を弾く姿は正月ならではの風景の一つでもあった。 子供の10人に5人はそろばんを習っているほど「そろばんの黄金時代」と呼ばれた1980年代。級や段の習得が銀行などの就職に有利とされ、当時(1980年代)そろばん人口は全国で約800万人にも上った。 中には親が借り出されたことも。 1989年、長崎市内の小学生350人が参加した「ちびっ子そろばんまつり」では子供たちがハチマキ姿で気合を入れる中、親も読み上げ算に挑戦!と意気込むも子供たちのスピードについていくのはなかなか難しかったようだ。 1989年に取材した映像にはちょっと変わったそろばんが紹介されていた。
そろばんを通じた国際的な交流も
慣れない手つきでそろばんを弾くのはアメリカ海軍佐世保基地に住む子供たちだ。 29年前の1995年、全国珠算連盟佐世保地区が開いた日米交流会では日本とアメリカの子供たちが一緒にそろばんを弾き、言葉の壁を越えたツールとして国際交流にも一役買ったようだ。
価値の変化と再注目の2000年代へ
1990年代に入ると競技人口は減少傾向になるが、2000年代に再びその魅力が注目され始める。 その頃、登場したのが 画面の数字を暗算で計算する「フラッシュ暗算」だ。 遊び感覚で楽しく練習ができると話題となり、フラッシュ暗算ができるゲームも登場した。 暗算と脳の動きの関係を調査した研究も多く行われ、「そろばんは右脳を活性化させ、集中力を高める効果があるのでは」と習い事として再び脚光を浴び始める。