過疎高齢化進む「造船の島」に待望のコンビニ 山口県の笠戸島 通常の店舗より業務用品が充実
山口県下松市の笠戸島で初めてコンビニ店がオープンした。島は過疎高齢化が進む一方、市を代表する観光地でもある。店の運営会社は、経営の安定に向け、島にある造船関連企業の従業員に加え、住民や観光客の積極的な利用を期待している。 【地図】笠戸島で初めてのコンビニ店 島中央部の江の浦地区の県道沿いの「ヤマザキショップ ドックサービス下松笠戸島店」。約90平方メートルの店舗に食料品や日用品が並び、ATMもある。通常のコンビニに比べ、作業用手袋や作業着、雨がっぱなどの業務用品が充実しているという。 島にある造船会社、新笠戸ドックの特約販売店「ドックサービス」が昨年11月下旬に開いた。新笠戸ドックで働く従業員約650人の利便性向上が主な目的だが、平松康志店長は「開店を喜ぶ住民の声が励みになっている。観光客にもぜひ利用してほしい」と張り切る。 島には1918年、「笠戸島船渠(せんきょ)」が江の浦地区に設立された。造船の島として栄え、60年には4千人以上が暮らした。しかし、人口流出が続き2023年末時点の住民は802人で高齢化率は51・5%。小売店は減り、住民の多くは車やバスで市中心部に出て買い物をしている。新笠戸ドック周辺の社員寮に住む従業員たちも同様という。 笠戸島自治会連合協議会の岩本信行会長(68)は「ちょっと必要な物を買いたい時に街まで出ていたのに比べて便利になった」と笑顔を見せる。ドックサービスの竹田重喜社長は「島の憩いの場となればうれしい。地域活性化にも貢献したい」と意気込んでいる。
中国新聞社