東京都内で24日に開かれたプロ野球ドラフト会議で、東海大静岡の宮原駿介投手（22）＝静岡学園高出＝が巨人から5位で指名され、夢舞台のスタートラインに立った。育成ドラフトでは知徳高の小船翼投手（18）が広島の育成1位、浜松商高の曽布川ザイレン内野手（18）はソフトバンク育成2位と、県内の高校球界を沸かせた投打の期待の星が指名を受けた。

巨人5位指名　宮原（東海大静岡）

巨人から5位指名を受け、祝福を受ける東海大静岡の宮原駿介投手（中央）＝24日午後、静岡市清水区の東海大静岡キャンパス

　コロナ禍で迎えた高校3年夏、全国高校野球選手権静岡大会の代替大会。宮原投手は一塁手として出場した初戦で敗れ、高校野球を終えた。当時の背番号は3。登板機会のないまま最後の打者となり、「そこでプロになろうと思った」。投手として、本気になった瞬間だった。 　当時136キロだった直球は大学1年で142キロまで更新したが、その後しばらくは伸び悩んだ。「何かを変えなければ」。2年冬、厳しいランニングメニューを全力でやりきると自らに課し、乗り切った。「精神面は非常に大切」との自負がある宮原にとって、この冬の鍛錬が自身を変える転機となった。 　1年冬から都内のトレーナーのもとで体の使い方、鍛え方を学んだことも成長を後押し。腕の位置を下げるなど大幅なフォーム変更をして安定感が増し、球速も150キロ台に乗せるまでになった。 　高校での悔しさを機に、飛躍の4年間を過ごして夢舞台へたどり着いた。「（4年前に誓った）思いをずっと切らさずにやってきた。右肩上がりで成長できる選手になりたい」。本当の勝負はここから始まる。

広島育成1位　小船（知徳）

野球部員から胴上げで祝福される小船翼投手（中央）＝24日午後、長泉町の知徳高

　小船投手は1年秋、東海大会まであと1勝と迫った準決勝と3位決定戦で連続コールド負けを喫した。ともに打ち込まれ、投球が通用しないと痛感。「もっとやるしかない」。自身を変えるきっかけになった。 　海老名リトルシニア（神奈川県）では「4番手」。進学後は体力が付き、練習の質が変化した。初鹿文彦監督が「こんなに自分で考えて取り組めるとは」と話すように、努力を重ねた。 　直球は入学時に定めた目標の145キロをゆうに超えた。「ここまで成長できるとは思わなかった」。自身を押し上げてくれた知徳での3年間を誇りに思う。

ソフトバンク育成2位　曽布川（浜松商）

仲間から祝福される浜松商高の曽布川ザイレン内野手（手前左から2人目）＝24日午後、同校

　伝統校の浜松商高出身選手のプロ入りとなれば、33年ぶり。今年創部100年を迎え、数多くのOBからの期待を背負う曽布川内野手は「地元の声援に応えられるよう頑張りたい」と意欲を見せた。 　1978年の選抜大会で投手として浜松商高を優勝に導いた農業の樽井徹さん（63）＝浜松市浜名区＝は、高校通算29本塁打を記録した曽布川内野手の打撃力に期待する。 　「実際に見た際、体が大きくて馬力を感じた。地肩の強さもあると聞いたので、技術を磨きプロで輝いてほしい」と激励した。