食・農・環境学部続々と 全国の大学で新設 成長分野の人材育成
全国の大学が、食や農、環境系の学部を相次いで新設する。中央大学は2027年度、順天堂大学は26年度に農学系の学部を新たに設ける方針だ。今後の成長が見込める分野として食や農、環境に関わる人材育成を急ぐ。農業系企業やJAなどへの就職希望も想定され、人材獲得の好機につながる可能性がある。 文部科学省は、世界的なデジタル化の進展や脱炭素化に向けた動きを踏まえ、学部再編を支援する。具体的には理学・工学・農学系の学部再編を促しており、食や農、環境と情報・デジタルに関する学部を新設する動きが相次いでいる。 中央大学(東京都八王子市)は27年度、農業情報学部を新設する方針。食の安全や気候変動による食料危機、環境負荷低減などについて、農業のデジタルトランスフォーメーション(DX)による課題解決を研究する。1学年300人を定員とする予定だ。 順天堂大学は26年度、千葉県市原市に食農学部(仮称)を開設したい考え。定員は1学年200人。食を支える農業の生産から消費までの過程を学び、食と農に関わるビジネスのマネジメントができる人材を育成する。 二酸化炭素削減を進めるカーボンニュートラルや環境負荷低減につながる「グリーン」を研究する環境系学部の新設も目立つ。 北里大学は、25年度に獣医学部にグリーン環境創成学科を設置する方針。持続可能な食料生産など環境・農業両面で学ぶことができる学科となる見通し。立教大学は26年度に環境学部を新設する。 同省は特定分野に転換する大学を32年度まで支援する方針だ。独立行政法人の大学改革・支援学位授与機構は、「私立大学の農学系学部設置などの再編は過去にない流れ。今後もデジタル、グリーンをキーワードにした学部の再編は続くだろう」と見通す。(尾原浩子)
日本農業新聞