10月2日、初公判で法廷に出廷したエリック・アダムス市長Photo by Alex Kent / Getty Images

米ニューヨーク市のエリック・アダムス市長が収賄罪などで起訴され、その進退が注目されている。 【画像】NY市長に賄賂…　トルコや中国政府はなぜ「米国の地方レベルの政治家」に接近するのか？ 9月26日に公開された起訴状によると、アダムスは収賄や通信詐欺、外国からの違法献金など５件の罪に問われている。 アダムスが所属する民主党内やニューヨーク市民からは辞任要求が高まっているが、本人は無罪を主張しており、職務を続けながら裁判で争う構えだ。

トルコ政府との「甘い関係」

アダムスの罪状は5件あるが、ひと言でいえば、トルコ政府との「癒着」だ。トルコの政府高官や企業家から賄賂を受け取り、その見返りとして同国に便宜を図っていたとされる。 起訴状によれば、トルコとの怪しい関係は、アダムスがニューヨーク市ブルックリンの区長を務めていた2014年頃から始まっていた。海外旅行の際に、トルコ航空のビジネスクラスに無料でアップグレードしてもらったり、高級ホテルでの宿泊を提供してもらったりしていたという。 それはトルコ訪問時だけでなく、フランスや中国、スリランカなどを訪れた際にも同様の優遇を受けていたと、英紙「ガーディアン」は報じている。そうした豪華旅行の賄賂は総額10万ドル（約1500万円）に上るとされる。 また2021年のニューヨーク市長選では、トルコの関係者を通じて同国で献金を集めた疑いがもたれている。米国では外国からの政治献金は法律で禁じられている。 アダムスはこうした長年の賄賂の見返りとして、トルコ政府に便宜を図った。2021年9月には、トルコがニューヨーク市に新設した領事館について、防火設備の点検を待たずに開館できるよう消防当局に圧力をかけたとされる。