“為替名人”似鳥昭雄会長「1ドル130円」予想を再び外すか…ニトリ36年連続増収増益ストップで正念場
一時1ドル160円に達した「超円安」水準は、さすがに想定外だったようだ。先月14日、家具最大手「ニトリホールディングス」は、2024年3月期決算を発表した。売上高は前期比5.5%減の8957億9900万円、営業利益は同8.8%減の1277億2500万円と、36期連続増収増益の記録がストップする事態に。 【写真】ニトリHDの似鳥家<上> 創業者と母親“骨肉の争い”の深淵 ニトリの成長を止めた要因として、昨今の原材料高やコロナ禍の巣ごもり需要の反動減、そして、為替相場の歴史的な円安水準などが挙げられる。 ニトリは、ユニクロやJINSなどと同様に、企画、デザイン、製造、販売まで一貫して行うSPAモデルで高収益をあげており、東アジア進出のほか、21年に家具大手「島忠」を傘下に収めるなど成長を続けてきた。だが、商品のおよそ9割を海外で生産し、輸入・販売していることから、昨今の円安が大きな痛手となっている。 「今のニトリは1円円安に振れるだけで20億円の利益を吹き飛ぶと言われるだけあって、2月から事業会社ニトリの社長に復帰した似鳥昭雄会長も、100年に1回あるかないかのピンチだと話しています。毎年恒例となっている為替予想が当たると評判の似鳥会長にとっても、今の為替水準は想定外のようです」(経済ジャーナリスト) ■極度な円安が「お、ねだん以上」を圧迫 現在1ドル157円付近で推移しているドル円相場について、似鳥会長は今年「130円台前半まで円高が進む」とコメントしているが、今のところ予想を外している。ちなみに、23年については「1ドル110円を切る可能性もある」と予想していた。 「ニトリは輸入企業なので、似鳥会長の円高予想は若干ポジショントークの面が否めませんが、今のところ面目丸潰れといったところでしょう。今期は小幅の増収増益を見込んでいますが、ニトリが前提としている為替レート1ドル150円からはまだまだ乖離しています。なかには1ドル200円まで進むという声もあり、そこまで円安ドル高になれば、ニトリがこだわる“お、ねだん以上”が保てなくなる可能性が出てきます。ただし、今後、アメリカの利下げ、日本の利上げが実施されれば、似鳥会長の予想通り、年内に1ドル130円台まで戻す可能性はゼロではないでしょう。円高になれば、業績も回復に向かうはずです」(前出・経済ジャーナリスト) “為替名人”の面目躍如となるか。