「もしトラ」後の株式市場、アジアで日本人気化も-円安と対中強硬策
バリュエーションも日本株がグローバル投資家にとって魅力的に映る要因の一つで、中国を除く主要株式市場の中で最も割安だ。MSCIジャパン成長株指数の12カ月先予想株価収益率(PER)は22倍台と、MSCIワールドグロース指数の30倍台よりも低い。
トランプ氏の勝利が日本株を一段と押し上げる可能性については不安要素もつきまとう。米中間の対立が深まれば、中国でのエクスポージャーが高い日本の製造業の業績や株価が打撃を被るリスクがあるからだ。
RBCウェルスマネジメントアジアでシニア投資ストラテジストを務めるジャスミン・ドゥアン氏は「トランプ氏再選の場合、日本がアジアで最も安全な市場になるとは思えない」と話す。円安が続くと、トランプ政権が円高に誘導する可能性があり、その場合は対照的に中国株が恩恵を受けるとの認識を示した。
とはいえ、トランプ氏は前回同様に対中強硬策を続けるとみられており、日本株がアジアで最も恩恵を受ける市場と予測する向きが多いのは事実だ。トランプ氏は自身がホワイトハウスに戻った場合、中国からの輸入品には60%を超す関税を課す可能性があると述べている。
トランプ氏、60%超える対中関税の導入を示唆-大統領返り咲きなら
野村証券の松沢中チーフストラテジストは、もしトラが現実になれば「日本株は世界の投資家にとって良い選択肢の一つだ」とし、市場は日銀による金融政策の正常化に注目しており、「銀行株がより良いパフォーマンスを示すだろう」と言う。
トランプ氏勝利で中国株売り・日本株買いの可能性-野村証券
IGマーケッツのアナリスト、ヘベ・チェン氏は25年1月から第2次トランプ政権が誕生すれば世界情勢が厄介で騒々しくなることが想定され、グローバル投資家は「本能的に最も安全な場所を求める」と予測。リスクベータの高いアジアや新興国市場は輝きを失う可能性があるが、「日本とインドはトランプ氏1期目に米国との良好な関係を築いたおかげで、最も安全は2トップになるかもしれない」と語った。