長崎2、3区は与党寄り…衆院選で各首長 野党はけん制、大石知事は政治資金問題で静観か
衆院選の運動はあす26日が最終日。解散後、長崎県内市町の首長は政権与党との関係を意識してか、長崎2、3区で自民党前職に近い姿勢が目立つ。情勢調査で与党の過半数確保が「微妙」とも報じられる中で、立憲民主党などの野党側は「首長は中立を保つべきだ」とけん制する。一方、昨年の旧4区補選や県議選で候補者を応援した大石賢吾知事は静観。自らの政治資金問題で「動けないのだろう」との声も漏れる。 「大村で勝とう(加藤)!」。2区の大村市内で17日にあった自民前職、加藤竜祥候補(44)の個人演説会。弁士で登壇した園田裕史市長は声を張り上げ、会場を盛り上げた。 園田氏は昨年の市長選で自民県連推薦の元県議らと対決して圧勝。支援を受けた保守系のベテラン県議と同じく、衆院選は加藤陣営に回った。ただ、市長選では立民前職の山田勝彦候補(45)からも「必勝祈願」の為書きを受け取っており、立民関係者は「そんなものか」とあきれる。 加藤陣営の集会には地元の島原市や諫早市などの首長も顔を見せた。日本維新の会新人の横田朋大候補(37)と参政党新人の髙木聡子候補(43)を応援する市町長は見当たらない。 3区にも“蜜月”をアピールする首長の姿がある。 「ある懇親会では一緒にピンクレディーのUFOを踊らせていただいた」 公示前に佐世保市内であった自民前職、金子容三候補(41)の総決起大会。宮島大典市長は金子候補との距離の近さを聴衆に披露した。15日の出陣式にも駆け付けて拳を突き上げた。 昨年の市長選で宮島氏は、自民県連の推薦を受けた相手候補に対し、特定の党の支援を受けず「オール佐世保」で初当選。選挙戦を支えた労組との政策協定には「他の選挙では中立」という趣旨も盛り込んだ。 立民元職の末次精一候補(61)を推薦する労組幹部は宮島氏に対し「首長の立場は理解するが『次の選挙は分かっているよな』とブレーキをかけねば」と不快感をあらわにする。維新新人の井上翔一朗候補(41)の元に駆け付ける首長はいない。 県都・長崎市の1区は様相が異なる。昨年の市長選で自民県連と連合長崎から推薦を受けて初当選した鈴木史朗市長は18日の定例会見で「政治的には基本的に中立」と強調。連合長崎推薦の国民民主党前職と自民新人の2候補にそれぞれ為書きを送りバランスを取る。 一方、22年知事選で自民県連と維新から推薦を受けた大石知事は、昨年の旧4区補選や県議選で精力的に自民候補らを応援。当時は「政策実現力の高い政権与党との連携を深めることが重要」などと主張したが、今回は動きが見えず、為書きも送っていないという。 自らの「迂回(うかい)献金」疑惑などが浮上した中、衆院選で「政治とカネ」が争点に。投開票の翌28日から県議会総務委員会は真相究明を図る集中審査を再開する。ある県議は「知事が姿を見せれば印象が悪くなりかねない。候補も応援を要請しにくい」とつぶやく。