韓国バッテリー「IRA支援」減っても中国牽制で反射利益に期待
インフレ抑制法(IRA)の廃止を公言してきた米国のドナルド・トランプ氏が大統領選挙で当選して韓国の電気自動車(EV)・バッテリー(2次電池)企業の緊張が高まっている。米国のEV・バッテリー市場はIRA補助金の影響を直接受けるためだ。 IRA廃止の可能性が議論されているが、現実性は低いというのが一般的な観測だ。韓国NH投資証券のチュ・ミヌ研究員は7日、報告書の中でバッテリー投資が集中しているミシガン・オハイオ・ネバタなどの地方区で、共和党議員の反対で廃止は難しいだろうと主張した。8月共和党下院議員18人がIRAの廃止に反対の意を明らかにした。 トランプ氏の主要経済基調が中国圧迫という点もIRAの完全廃棄が難しいとみる理由だ。IRAは中国EV・バッテリー・太陽光などの製品が米国市場に入ってくる際の障壁を高める方法だからだ。韓国産業研究院は6月「トランプ氏の対中国牽制基調上、IRAに含まれている脱中国サプライチェーン構築の方向性は維持される可能性が高い」と予想した。 IRAが廃止されなくても、補助金は削減されるだろうという見通しは多い。そうなる場合、韓国のバッテリーメーカーの打撃があるものとみられる。IRAに伴うAMPC(生産税額控除)を今年7-9月期だけでLGエナジーソリューションは4660億ウォン(約514億円)、SKオンは608億ウォンを受けた。サムスンSDIも来年から本格的にAMPCを受ける予定だった。ただしLGエナジーソリューションのキム・ドンミョン代表は「AMPCは大きな変動がなく、消費者に向かうタックスクレジット(税額控除)には変動があるようだ」と予想した。税額控除とは違ってAMPCは法改正が必要なためだ。 IRA補助金が減っても韓国EVメーカーの打撃は大きくないものとみられる。現代(ヒョンデ)自動車グループ(現代自・起亜)の電気自動車のうち、現在IRAの補助金を受けている車両はないためだ。ただし、トランプ時代にEV転換は速度調節する可能性があり、現代自動車グループは米国ジョージア州の新工場の一部ラインで電気自動車の代わりにハイブリッドカーを生産する方向で積極的に検討中だ。 トランプ氏の対中国牽制(けんせい)など通商政策が韓国企業にはむしろ有利に動く場合もある。対外経済政策研究院によると、米国の対中国関税引上げ以降、バッテリー分野では有意味に韓国の対米輸出が増加した。韓国バッテリー業界では、中国メーカーの米国エネルギー保存装置(ESS)市場シェアが下落するとの期待がある。 対外経済政策研究院のチェ・ジェヒ研究員は「トランプ氏の基調は中国とのデカップリングなので、中国ESSが米国市場で遮断されればその市場は韓国バッテリーメーカーの『畑』になる可能性が高い」と述べた。