トランプ氏の就任式控え根回し競争、韓国だけ落伍
トランプ次期米大統領の就任式(1月20日)に屈指の企業から巨額の寄付金が集まっている。すでに過去最高金額を超え、新記録を行進中だ。トランプ政権2期目を控えて高まる世界経済の不確実性の中で続く「根回し」行列という評価だ。財界はもちろんで政界・官界まで全世界がトランプ氏の就任式を控えて総力戦をする間、戒厳・弾劾の渦中にある韓国だけが事実上無防備状態という懸念が出ている。 24日(現地時間)のワシントンタイムズなどによると、トヨタ北米法人はトランプ就任委員会に100万ドル(約1億5700万円)を寄付することにした。前日にはフォードがトランプ氏の就任式のために100万ドルと一部の車両を寄付することを決定した。 ゼネラルモーターズ(GM)も今月初め100万ドルと車両を寄付する方針を明らかにした。トランプ氏が最大7500ドルの電気自動車補助金廃止を公言し、グローバル自動車市場の地形に大きな変化が予想されると、企業が先を競って「トランプ保険」に入る姿だ。 自動車企業だけではない。ビッグテック情報技術(IT)企業から金融・暗号資産業界にいたるまで業種を問わない。トランプ氏との悪縁など「過去」のことはもはや問題でない。2021年1・6議事堂乱入事件当時にトランプ氏のフェイスブックアカウントを停止させるなど関係が良くなかったメタのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)、トランプ1期目の各種政府入札で不利益を受けたと主張して感情を隠さなかったアマゾンのジェフ・ベゾスCEOはすでに就任委に100万ドルを寄付した。アマゾンの場合、2017年1期目の就任式に出した寄付金(5万8000ドル)と比較すると約17倍に増えた。トランプ政権2期目の実力者に浮上したテスラのイーロン・マスクCEOと法廷攻防までしたOpenAIのサム・アルトマンCEOも個人名義で100万ドルを寄付した。バンクオブアメリカ(BOA)、ゴールドマンサックスなど大型金融機関もそれぞれ100万ドルの寄付を決めた。また仮想資産取引所のコインベースとクラーケンもそれぞれ100万ドルを就任委に出した。 こうした状況で韓国は弾劾政局のため就任式に出席するかどうかも不透明だ。2017年1月のトランプ政権1期目の就任式では、朴槿恵(パク・クネ)弾劾事態の渦中にも国会与野党外交統一委員らが訪米して出席した。2021年1月のバイデン大統領の就任式当時も外交統一委員らで出席議員団を構成したが、ワシントン議事堂占拠デモなどで訪米が実現しなかっただけだ。しかし今回は誰が出席するかもまだ決まっていない。 国会関係者は「金碩基(キム・ソッキ)外交統一委員長と金健(キム・ゴン)、金永培(キム・ヨンベ)議員など幹事団、与野党各1、2人の外交統一委員が含まれる可能性が高い」としながらも「最悪の場合、政治状況によっては与野党議員が共に含まれた議員団の派遣が座礁する可能性もある」と伝えた。民主党が韓悳洙(ハン・ドクス)大統領権限代行首相に対する弾劾訴追に言及するなど政局状況が連日急変しているからだ。 就任委は就任式2日前(1月18日)から3日間、MAGA(Make America Great Again、米国を再び偉大に)祭りをはじめパレード、日曜礼拝(1月19日)、レセプション、夕食会などトランプ氏の支持者と寄付者を対象にした多様な就任式関連行事を準備している。これら行事には寄付金の規模によって行事出席の「等級」が変わる。100万ドル以上を寄付すれば来月18日に予定されたJ・D・バンス次期副大統領夫妻との夕食会行事チケットが与えられる。就任式の前日にトランプ氏夫妻が出席する日曜礼拝に出席するには10万ドル以上を寄付しなければいけない。 大統領就任委は寄付金を通じて就任行事の準備資金を合法的に調達できる。16日に募金額は就任委の目標値1億5000万ドルをすでに超えた。2021年1月のバイデン大統領就任式当時に集まった6200万ドルの約2.5倍にのぼり、過去最大規模だ。 現在、韓国人のうち就任式に招待されたのは16-21日にマールアラーゴを訪問した鄭溶鎮(チョン・ヨンジン)新世界グループ会長をはじめ、柳津(リュ・ジン)豊山(プンサン)グループ会長兼韓国経済人協会会長、禹五炫(ウ・オヒョン)SMグループ会長など一部の財界人と国民の力の金大植(キム・デシク)議員、趙廷訓(チョ・ジョンフン)議員などごく少数だ。 弾劾政局で政府と企業が全産業にわたり有機的に米国の政策に対応することは期待しがたいという評価もある。トランプ氏が選挙勝利後に尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領に直接言及した造船業協力問題は進展がない状態だ。フィナンシャルタイムズ(FT)も「韓国は政治的混乱でトランプ氏に対応する政策に求心点がない状況」(24日)と指摘した。 政府のある関係者は「いつよりもトランプ政権との緊密な関係構築が急がれる時だが、我々だけが事実上ストップした状態」とし「世界各国が総力戦をする『トランプ外交戦』で韓国が最も遅れをとっている」と話した。