出会いの時に「大地が動いた」――二人の作家、ピート・ハミルと青木冨貴子の運命的な出会い
突然舞い込んだ、ニューヨーク勤務のオファー
わたしはまず取材相手から手紙が届いたことに驚いたが、それ以上に最後の言葉に思わず笑ってしまった。「一緒に歩く」。50歳近い大人が一緒に歩きましょうだなんて、どんな意味かしら……。 今から思えば、あの地震は本当にわたしたちの「大地」を動かしたのだ。 翌日、わたしはニューヨークへ行って仕事しないか、と打診された。「ニューズウィーク日本版」の創刊に先立ち、ニューヨーク支局で働かないか、と。ニューヨークに住みたいと思っていたわたしには思いがけない誘いだった。それもニューヨークのジャーナリズムの表舞台で働かないかという、自分の予想を遥かに超えたオファーだった。 (第4回に続く) ※『アローン・アゲイン 最愛の夫ピート・ハミルをなくして』より一部抜粋・再編集。
青木冨貴子(アオキ・フキコ) 1948(昭和23)年東京生まれ。作家。1984年渡米し、「ニューズウィーク日本版」ニューヨーク支局長を3年間務める。1987年作家のピート・ハミル氏と結婚。著書に『ライカでグッドバイ――カメラマン沢田教一が撃たれた日』『たまらなく日本人』『ニューヨーカーズ』『目撃 アメリカ崩壊』『731―石井四郎と細菌戦部隊の闇を暴く―』『昭和天皇とワシントンを結んだ男――「パケナム日記」が語る日本占領』『GHQと戦った女 沢田美喜』など。ニューヨーク在住。 デイリー新潮編集部
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