「また、あと一歩の所で負けてしまった」京都U-18 DF飯田陸斗は後輩たちに想いを託しプロのステージへ
京都サンガF.C.U-18は昨年、プレミアリーグプレーオフ(参入戦)の2回戦で旭川実と対戦。相手以上のチャンスを作りながらも、1点が遠くPK戦で涙を飲んだ。同じ舞台で、また悔しい想いはしたくない。「昨年、あと一歩の所で負けてしまって、何が足りないのかずっと考えてきた。今年1年間はあと一歩を掴み取るためにチーム全員で頑張ってきた」と振り返るのは主将を務めるDF3飯田陸斗(3年)だ。 【フォトギャラリー】京都サンガF.C.U-18vsファジアーノ岡山U-18 昨年も左SBとしてプレーオフを経験していたため、「難しい試合になるとは分かっていた」が、いざ試合に挑むと思っていた以上に難しい。「今日は関西では感じられないファジアーノ岡山の勢いを感じた。プレーオフ独特の緊張感で試合の入りが堅かった」。夏の日本クラブユース選手権(U-18)のグループステージで負けた借りを返そうとする岡山U-18の気合いは十分。京都U-18の攻撃をはじき返す度、喜びを露わにガッツポーズする相手に飲まれていた部分があったという。 加えて、会場は岡山の隣に位置する広島。多くのサポーターが訪れ、バックスタンドを覆うようなビッグフラッグもあった。「ファジアーノのサポーターの声援の大きさに圧倒されて、完全に流れを持っていかれた」。 今年の京都U-18はプリンスリーグ関西1部で断トツトップの51得点を奪った攻撃力が売り。無得点で終わる試合はなかったが、この日は思い通りに攻撃ができなかった結果、歓喜の瞬間は訪れない。 後半は「相手は前半からガンガン、プレッシャーをかけてきて、後半は疲れるだろうとは予想していた」という飯田の読みが当たり、京都U-18がボールをもつ時間が増えた。ただ、粘り強い守備を続ける岡山の牙城を崩し切れない。「落ちてきた時に1点を仕留められなかったので、難しい展開になった」と飯田は続ける。 残り10分を切ってからは、準備してきたパワープレーに切り替えた。180cmの飯田、188cmのDF4喜多壱也(3年)など大型選手がいるため、空中戦では京都に分はあったが、岡山の守備陣もGK21近藤陸翔(3年)を中心に我慢強く対処。後半33分に左CKから放った飯田のヘディングシュートも枠を捉えることができない。「1点獲れば、相手の勢いをなくせると思っていたけど、逆にファジアーノの勢い、圧に押されてしまった。セットプレーで1点も取れないのは、自分たちの焦りになりましたし、難しい試合にしてしまった」 無得点で大会を終えたのは昨年と同じで、「1点の重みをプレーオフでは凄く感じました。また、あと一歩の所で負けてしまったので悔しい気持ちでいっぱいです」と飯田は口にする。後輩たちにプレミアリーグという置き土産を残して、プロのステージに進むつもりだったが、果たせなかった。「圧倒的な強さがないと上がれないと感じたので、来年の1、2年生には本当に頑張って欲しい」(飯田)。来年こそは“あと一歩”の先に広がる舞台を後輩たちが掴んでくれると期待したい。 (文・写真=森田将義)