日本ダービー、異例のローテで挑むシックスペンスは世代の頂点に立てるほど強いのか?
ダービーは、皐月賞組が強い。それも、圧倒的に強い。 それは、過去10年の結果を見れば、明らかである。勝ち馬が8頭、連対した全20頭のうち、実に17頭が皐月賞組だ。 【写真】競馬好き美女モデル、ぴちぴちニット姿がSEXY&キュート やはり、王者は"王道"を歩んできた組から生まれる、ということなのだろうか。 そして、間近に迫った今年のGI日本ダービー(5月26日/東京・芝2400m)でも、皐月賞組、特に上位にきた面々は中心視され、人気を集めそうだ。 そんななか、今年は異例のローテーションで挑む馬にも熱い視線が注がれている。 ここまで3戦3勝。前走のGIIスプリングS(3月17日/中山・芝1800m)でも、強い競馬を見せて完勝したシックスペンス(牡3歳)だ。 周知のとおり、スプリングSはGI皐月賞(中山・芝2000m)のトライアルである。シックスペンスはそこを勝って、皐月賞(4月14日)出走の権利を得ながら、あえてその牡馬クラシック初戦をパス。ぶっつけでダービーに挑むというのである。 ダービーがフルゲート18頭になった1992年以降、スプリングSから直接ダービーに向かった馬は何頭かいるが、すべて着外に敗れている。 スプリングSとダービーでは、距離も、コース形態も、大きく異なる。しかも、皐月賞という、トップレベルの熾烈な争いを経験していない。それゆえ、スプリングSからいきなりのダービー挑戦が厳しい結果に終わることは、ある程度想像がつく。 それでも、シックスペンスの陣営は、早々にこのローテーションを選択した。それはなぜか? 競馬専門紙記者はこう語る。 「シックスペンスが皐月賞をパスしたのは、公式的には『歩様(ほよう)がよくない』とか言われていました。でもそれは、あまり関係ないと思います。スプリングSを勝ったら、皐月賞を使わずに直接ダービーへ、というのは当初からの計画どおりでしょう。
今は、昔のようにレースを使わなくても強い馬はつくれる。それよりも、目標のレースまでに少ない出走で、いかに馬にダメージを残さないかが大事――と、されるようになりましたからね。そのため、異例のローテ、異例の間隔で大舞台に挑む馬が増え、実際にそれで好成績を上げている馬も多いです。 そう考えれば、シックスペンスのこのローテは、まさに"今風"。馬にとっては休養十分で本番に臨めるわけですから、むしろ有利なローテと言えるのではないでしょうか」 皐月賞出走の権利がありながら、皐月賞をパスしてダービーへ向かった馬の好走例としては、近年では2021年の覇者シャフリヤールがいる。 シャフリヤールはGIII毎日杯(阪神・芝1800m)を勝って、そこからダービーへ駒を進めた。毎日杯はスプリングSの1週後に行なわれるレースゆえ、必ずしも同一例とは言えないが、少なくとも似たような間隔での好走例である。 先の専門紙記者が言うように「休養十分で有利」かどうかはともかく、この"異例の間隔"が敗因になることはない、と言っていいだろう。 だが、シックスペンスが乗り越えるべき課題は、まだまだある。 無傷の3連勝とはいえ、すべて中山コースでのもの。ダービーの舞台となる東京コースはもちろん、左回りさえ走ったことがない。 距離も、経験しているのは1800mまでだ。そこから、600mも距離が延びる2400m戦。未知数というより、不安のほうが大きい、と言わざるを得ない。 何より、実際のところこの馬は、ダービーを勝って世代の頂点に立つほど強いのか。専門紙記者が言う。 「そこが、一番の問題です。確かに、3戦して負けていない、というのは立派。でもすべて、相手が弱い。メンバーが手薄なところばかり狙って(レースを)使ってきたのでは? と思ってしまうくらいです。 前走のスプリングSにしても、2着に3馬身半差をつけて勝ったとはいえ、その2着馬は皐月賞で15着。3着馬も8着でした。この程度の馬を負かしたからといって、それで『強い』、ましてやダービーを勝てるほど『強い』と言えるかというと、そこは疑問です」 スプリングSで手綱を取ったクリストフ・ルメール騎手が、ダービーでは皐月賞で6着に終わったレガレイラ(牝3歳)の騎乗を選択。それがまた、この馬の評価を下げた印象がある。